第229話 SWATの実力(中編)
「"ベイビー"にSWATの実力を見せてやりますよ」、アランがいう。
「アラン、"ベイビー"の前で落ち合おう」、ローランドがいう。
「了解、ローランド、"ベイビー"の前で落ち合おう」、アランは通話を終えた。
チームアルファのリーダーであるアランは、現在の状況を確認した。
SWATの基本行動の1つに「集まって行動しない」がある。
テレビドラマや映画で、特殊部隊が1箇所に集まっている場面がある。
集まって行動した場合、攻撃されれば全滅する可能性が高くなる。
常に一定の距離をおいて、1箇所に集まらないようにするのが基本だった。
今回、防火シャッターを切断しようとしたエディから、一定距離をおいてアンディ。
さらに一定距離をおいてサンドラ、一定距離をおいた最後尾にアランがいた。
突然、起こった爆発に巻き込まれ、エディとアンディは重傷を負った。
だが、サンドラと自分は軽傷で済んだ。
応急処置を済ませたエディとアンディは、地下通路の床に横たわっていた。
エディ、アンディ、仇はとってやるからな、アランは2人に誓った。
「指示を」、サンドラがいう。
「チームベータと"ベイビー"の前で合流する、強行突入だ」、アランがいう。
「了解」、サンドラはエディの大型リュックを拾い上げた。
リュックを背負うと、最後の5枚目の防火シャッターに向かって駆け出した。
防火シャッターに着いたサンドラは、リュックから爆発物を取り出した。
取り出したのは、C4と呼ばれる可塑性のプラスチック爆弾だった。
サンドラはC4に遠隔で操作できる信管をセット、防火シャッターに取り付けた。
取り付け終えたサンドラは、少し離れた柱の陰に身を潜めた。
防火シャッターの方向から、爆発音が聞こえてきた。
チームベータがC4を爆発させた音だろう、アランは思った。
サンドラが振り向き、後方の柱の陰に潜むアランに目で合図を送ってきた。
アランがうなずいた瞬間、サンドラがC4の起爆装置のスイッチを押した。
C4が爆発、防火シャッターには大きな穴が開いた。
サンドラが防火シャッターに開いた穴に飛び込み、アランも後に続いた。
飛び込んだ地下通路には、チームベータのローランドとジョンがいた。
「遅いじゃないか」、チームベータのリーダー、ローランドがアランにいう。
「ほぼ同時だろ、いよいよ"ベイビー"とご対面だな」
そういうと、アランは"ベイビー"がいるサーバールームの入口に目をやった。
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