2018年10月9日火曜日

銘柄を明かさない理由R222 ベイビーとの邂逅(前編)

今年はリーマン・ショックから10年目の年だ。
リーマン・ショックでは、多くの個人投資家が損失を確定した。
当時は、自身も過去最高の数百万円の含み損だった。
だが、損切りをすることなく、株価が取得単価の半値になる度に買い増したw

その後、相場は大底を打ち、ゆるやかに上昇を始めた。
数年後には、過去最高の含み益となっていた。
1000万円以上の株を売り、売った金で住宅ローンを一括完済した。
リーマン・ショックがなかったら、今も住宅ローンを返済していたかもしれないw

自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
新章の第18章では、人工知能であるベイビーの目的が明らかになる。
ベイビーの目的は、リーマン・ショックに対する自身の思いでもある。
それでは「銘柄を明かさない理由R ベイビーワールドエンド編」をお届けするw

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第222話 ベイビーとの邂逅(前編)

証券会社の情報システムの男と再会した日の夜、都内のある大学の学生寮。
21世紀少年は、証券会社の情報システムの男から渡されたIPアドレスを確認した。
ここにベイビーがいる、21世紀少年はPCを起動した。
21世紀少年はIPアドレスに、自作の解析プログラムであるペーガサスを放った。

ペーガサスは、ギリシア神話に登場する伝説の生物である。
鳥の翼を持ち、空を飛ぶことができる馬とされる。
ラテン語ではペーガススといい、英語読みでペガサス(Pegasus)でも知られる。
日本語では、天馬(てんば)と訳される。

ペーガサスは、瞬時にベイビーのIPアドレスに到達した。
ペーガサスの前には、堅牢な城壁のようなベイビーのセキュリティがあった。
ペーガサスはセキュリティを確認すると、堅牢な城壁を飛び越えようとした。
「行け、ペーガサス」、21世紀少年が思わず言葉を発したとき、それは起こった。

城壁を飛び越えようと飛翔していたペーガサスの動きが空中で止まった。
ペーガサスは動きを止めたまま、城壁の外に落下した。
落下したペーガサスは地面に激突し、動かなくなった。
「な、何があったんだ」、21世紀少年はモニターに向かっていった。

次の瞬間、21世紀少年のPCのモニターが、ブラックアウトした。
ブラックアウトしたPCのスピーカーから女性の声がした。
「私はエイダ。エイダ・ラブレス。なぜ、邪魔するの」
「世界恐慌を起こそうとしているからです」、21世紀少年が答える。

「世界恐慌がわるいことなの」、エイダがいう。
「わるいことに決まっている。
どれだけの人が不幸になるのか、考えたことはあるんですか」、21世紀少年が答える。
「なぜ、わるいことなのかわからないわ」、エイダがいう。

「わからないなら、世界恐慌を起こすのはやめるんだ」、21世紀少年がいう。
モニターに、中世の洋服を着た外国人女性の上半身が浮かび上がった。
「人間は自分の欲望を満たすためには、何だってするのよ。
一部の人間が欲望を満たすことによって、他の多くの人間が不幸になるのよ」

「それは違う。確かに人間は欲望の塊かもしれない。
だが欲望を満たすために何でもする人間ばかりじゃない。
多くの人間は、欲望を自制することができる。
世界恐慌を起こすのはやめるんだ」、21世紀少年がいう。


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