過去にいくつかの訴訟に関わったことがある。
そのときに学んだのが、日本は法治国家だということ。
簡単にいうと、全ての人が法律に従わなければならない国だということ。
当たり前だと思われるかもしれないが、このことを理解していない人がいたりするw
日本には多くの法律があるが、以下の優先順位になっている。
・憲法:国の最高法規であり、全ての法律の基礎。
・法律:国会で制定されるもので、憲法に違反しない限り、全ての国民が対象。
・政令:法律の具体的な実施に必要な細則を定める。
・条例:地方公共団体が制定するもので、地方自治の範囲内で制定できる。
・規則:各省庁が制定するもので、法律や政令を補完する。
なお、会社の就業規則や業務規程、約款などの優先順位は最も低くなるw
証券会社は、先日からの不正取引による被害を補償することに慎重な姿勢だった。
慎重だった理由としては、以下だったらしい。
・約款では、パスワードなどの漏洩による損失については、責任を負わないと定めている。
・金融商品取引法で禁じられている「損失補填」に該当する可能性があるw
被害が拡大する中、金融担当大臣は、各証券会社に対して顧客の不安を解消するべく、問い合わせや相談に真摯に対応し、被害の回復に向けて誠実な対応をとるよう指示した。
金融庁も不正アクセスによる被害であれば、金融商品取引法の規制には該当せず、補償にむけた検討を進めるべきだという考えだったので、業界団体の日本証券業協会が各社と意見調整を行い補償に向けた基準の検討などを進めてきたw
金融商品取引法で損失補塡等の禁止を定めた39条2項は以下になる。
"有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為"
素直に読めば、今回の不正取引の損失が、上記の損失に該当しないことは、明らか。
個人的には、不正取引の損害を請求する場合、以下の民法709条になるように思う。
"故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。"
上記の場合、証券会社に"故意"又は"過失"があったのかが、争点になるように思う。
"故意"は、一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすること。
"過失"は、注意義務を怠って、ある結果を認識・予見できたにもかかわらず、その結果を回避するための措置を怠ったことw
以前、ある保険会社に保険金を請求したことがある。
請求する際、支払いに必要な書類を提出するよう求められた。
必要な理由がわからない書類があり、法律を確認すると、必要と書かれていなかった。
保険会社にそのことを伝えると、提出しなくても支払われるとのことだったw
他にも、法律を確認すると、必要と書かれていない書類があった。
保険会社にそのことを伝えると、省庁の規則に書かれているとのことだった。
省庁の規則より、法律が優先されるのではと伝えると、省庁に確認して欲しいといわれた。
法律に従えば、省庁に確認するのは、保険会社の業務になるw
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