自身のオリジナル小説である「銘柄を明かさない理由R」。
いつか、自費出版しようと考えている。
女友達には無償で配布、要らないといっても送りつける。
もちろん、男友達には高額で売りつける予定だw
タイトルのみ決めて書き始めた「クーロンズ・アイ編」。
1914年(大正3年)6月、1人の男が大連港に降り立った。
この男は実在の人物で、「クーロンズ・アイ編」のキーマンになる予定だ。
それでは「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw
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第258話 人の行く裏に道あり花の山(前編)
「お前のことを調べたら、実にこれまで努力してやってきたことがわかる。
せっかくの才能があるんだ、お前の頭を正道に使え、決して邪道を歩むな。
邪道によって金儲けしようとか、出世しようとか考えるな、正道を歩け」
男は裸一貫から再出発するため、日本に帰国することにした。
男には、最も信頼していた番頭がいた。
番頭は、現地で雇った中国籍の男で、名を張(チャン)といった。
張は、男と同じく学はなかったが、仕事ぶりは真面目だった。
男は、自分と同じ年の張を番頭に抜擢、贔屓にしていた。
男は張と、朝まで語り明かしたことがあった。
「張、どんなに頭がよくても、儲けることができるとは限らない」、男がいう。
「ドウシテカ」、張がカタコトの日本語でたずねた。
「人の行く裏に道あり花の山、という言葉を知っているか」、男がいう。
「キイタコトナイデス」、張がカタコトの日本語でいう。
「頭がよい奴は、最もよさそうな道を選ぼうとする。
だが、その道は誰もがよいなと思う道だ」、男がいう。
「ソレデイイノデハアリマセンカ」、張がカタコトの日本語でいう。
「頭がよい奴は、最もよさそうな道を選ぼうとする。
すると、人と同じ道しか選べないことになる。
人と同じことをやっていたのでは、人と同じ儲けしか得られない」、男がいう。
「ムズカシクテ、ワカリマセン」、張がカタコトの日本語でいう。
「人より儲けたければ、大勢の人と同じ道を選ばないことだ。
10人中9人がやっていることがあれば、残り1人がやっていることをする。
10人中10人がやっていることがあれば、誰もやっていないことをする」、男がいう。
「ヤハリ、ムズカシクテ、ヨクワカリマセン」、張がカタコトの日本語でいう。
「かっての日本には、士農工商という身分制度があった」、男がいう。
「シノウコウショウ?」、張がカタコトの日本語でいう。
「士は武士、農は農家、工は工業、商は商人(あきんど)だよ。
最も金儲けの才能に秀でている商人が、最も低い身分にあった」、男がいう。
「ヒクイミブンノ、アキンドヤメロ。
タカイミブンノブシニ、ナレトイウカ」、張がカタコトの日本語でいう。
「違う、士農工商になるなら、人と同じ道を行くことになる。
士農工商以外になることが、人の行く裏に道あり花の山なんだ」、男はいった。
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