第456話 これからを担う者(中編)
東京都中央区にある日本一の株屋の社長室。
社長室には、日本一の株屋の社長であるムラノキョウスケ。
クジョウとテンマがいる証券会社の会長で"無敗のキング"ことジツオウジコウゾウ。
ムラノの会社の女性秘書がいた。
「社長、中継のために設置した機器を片づけてもよろしいでしょうか」
クジョウのノートPCとの接続が切れると、機器を設置した女性秘書がムラノにいった。
「すまないが頼むよ」、ムラノがいうと、女性秘書は片づけを始めた。
「どうぞ、おかけください」、ムラノがジツオウジにソファに座るよう勧める。
ジツオウジがソファに座ると、ムラノも向かいのソファに座った。
「この度は急な頼みをしてすまなかったな」、ジツオウジがいう。
「"無敗のキング"の頼みとあらば、断れないでしょう。
これからを担う者へのメッセージを頼まれるとは思いませんでしたが」、ムラノがいう。
「東の本間にしろ、西の淀屋にしろ、証券界には欠かせない一族だ。
彼らは、明治、大正、昭和と激動の歴史の中を生き抜いてきた。
ワシからすると、彼らこそ証券界の宝ともいえる存在だ。
ところで、これからの相場をどう考えている」、ジツオウジがいう。
「ご存じのように、国内市場に占める海外投資家の割合は増える一方です。
海外投資家の動向で市場が変動する、おかしなことになっています。
このような現状に、同業者の多くは海外市場に活路を見出そうとしています。
故に、国内市場に占める国内投資家の割合を増やすことが大事かと」、ムラノがいう。
「さすが日本一の株屋だな、たいしたものだ」、ジツオウジがいう。
「何を仰られます、"無敗のキング"の考えと同じですよ。
"無敗のキング"が育ててきた個人投資家たちが動き出しています。
これから、国内市場に占める国内投資家の割合は増えていくでしょう」、ムラノがいう。
「ワシの考えは、日本一の株屋の創業者に影響を受けている。
創業者いわく、『証券報国こそは職域奉公の実体にして、あくまでもこれを貫徹すべく』
あらゆる投資に関して最高のサービスを提供することが、証券会社の使命だとな。
そのためには国内相場を最高の環境にしなくてはならない」、ジツオウジがいう。
「仰る通りです、最高のサービスを提供するには最高の環境が必要ですからね。
我が社も、最高の環境を作るべく、頑張って参ります」、ムラノがいう。
「我々が先代から教わったことを、これからを担う者に伝えていく。
これこそが我々の存在価値かもしれんな」、ジツオウジがいった。
0 件のコメント:
コメントを投稿