第336話 最強のツーペア(前編)
南京路は、中華人民共和国上海市を通る道路で、沿線は繁華街として知られる。
現在の南京路は、南京東路と南京西路に分けられている。
東部に当たる南京東路は、黄浦区を外灘から上海人民公園まで走っている。
また、西部に当たる南京西路は、人民公園から静安区へ続いている。
南京東路は特に商業の発達した地域になっている。
東端はバンドの中心から始まっており、平和ホテルが有名である。
更に西には、南京路歩行者天国が広がっている。
歩行者天国と南京東路は、上海競馬場があった上海人民中央公園で終わっている。
公園を越えて西には、上海で最も古いホテル群が並び、パークホテルもこの中にある。
南京西路はここから始まり、高級商店やオフィスビルが立ち並んでいる。
過去には大きな邸宅や団地があったが、現在これらは政府により取り壊されている。
南京路は世界最長のショッピングモールであり、一日100万人もの人が訪れるという。
南京路の沿線にある高級ホテルの最上階にあるラウンジ。
最上階にあるラウンジのVIPルームには、2人の男がいた。
1人は、中国の武器である青龍刀を思わせる40代の男、劉宋明(りゅうそうめい)。
もう1人は、"天使の笑顔をもつ男"こと、無敗の相場師エースのアマネ オトヤ。
劉宋明はテーブルに置いてあったグラスを手に取るよう、アマネ オトヤにいった。
劉宋明はテーブルにあった高級ブランデーのボトルを、アマネ オトヤの頭の上で傾けた。
「お気に入っていただけましたでしょうか」
髪から高級ブランデーが滴り落ちるアマネ オトヤに、劉宋明がいった。
頭から高級ブランデーを浴びせられたアマネ オトヤは、うつむいたままだった。
劉宋明は空になった高級ブランデーのボトルを、テーブルの上に置くといった。
「娘に日本語を教えてくれと頼みましたが、妻にも教えてくれたようですね」
アマネ オトヤは、うつむいたまま、無言だった。
ノックの音がし、VIPルームのドアが開いた。
開いたドアの向こうには、黒服のボーイにエスコートされた1人の女性がいた。
エスコートされた女性は、"ウィッグの女"こと、キサラギ ミレイだった。
キサラギ ミレイは冷たい眼差しで、アマネ オトヤを見た。
「娘の家庭教師にと、ミレイに紹介してもらったこの男。
娘だけじゃなく、妻にもいろいろ教えてくれたようだ」
劉宋明が、キサラギ ミレイを見ていう。
「最低の男ね」、キサラギ ミレイは冷たい眼差しのまま、いった。
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