第335話 禁断の代償(後編)
上海市の南京路沿いにある高級ホテルの1室。
高級ホテルの1室には、若い2人の男女が住んでいた。
若い男は、無敗の相場師エースこと、アマネ オトヤだった。
アマネ オトヤが相場を確認していると、ドアが開き、若い女性が帰ってきた。
帰ってきたのは、無敗の相場師である"ウィッグの女"こと、キサラギ ミレイだった。
キサラギ ミレイは、情報収集のため、上海の高級ラウンジで働いていた。
「お帰り、お疲れさま」
天使のような笑顔を浮かべ、アマネ オトヤがいう。
「ホントにお疲れさまだわ。ところで今日は劉宋明の娘マチルダの家庭教師の日でしょ。
何か、劉宋明の情報はつかめたの」、キサラギ ミレイがたずねる。
「今日、初めて劉宋明と奥さんの3人で食事をしたんだ。
劉宋明から飲みに誘われ、明日、飲みに行くことになったよ」、アマネ オトヤがいう。
「劉宋明と2人で飲みに行くの」、キサラギ ミレイがたずねる。
「そうだよ、2人でいろいろ話をしたいそうだ。
これで、劉宋明に関する情報を聞き出せるかもしれない」、アマネ オトヤがいう。
天使のような笑顔のアマネ オトヤを見て、キサラギ ミレイはイヤな予感がした。
翌日の夜、アマネ オトヤは宿泊している高級ホテルの前で劉宋明を待っていた。
約束の時間になると、1台のリムジンがアマネ オトヤの前で停まった。
リムジンの後部座席のドアが開くと、劉宋明がいった。
「お待たせしました、先生、さあ、お乗りください」
「全然、待っていません。失礼します」
アマネ オトヤが後部座席に乗り込むと、ドアが閉じ、リムジンは走り出した。
「先生をご招待するのは、私が贔屓にしている店でしてね。
気に入っていただけるとよいのですが」、劉宋明がいう。
ほどなくして、リムジンは南京路の沿線にある別の高級ホテルの前で停車した。
劉宋明は、アマネ オトヤとリムジンから降りると、最上階にあるラウンジに向かった。
最上階に着くと、劉宋明は会員制のラウンジのドアを開け、VIPルームに向かった。
劉宋明はVIPルームのドアを開けるとソファに座り、アマネ オトヤに座るよう促した。
劉宋明はテーブルに置いてあったグラスを手に取るよう、アマネ オトヤにいった。
劉宋明はテーブルにあった高級ブランデーのボトルを、アマネ オトヤの頭の上で傾けた。
「お気に入っていただけましたでしょうか」
髪から高級ブランデーが滴り落ちるアマネ オトヤに、劉宋明がいった。
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