2019年8月24日土曜日

銘柄を明かさない理由R268 自己超越者(前編)

第268話 自己超越者(前編)

アメリカの心理学者アブラハム・マズローが理論化した「自己実現理論」。
マズローは人間の欲求を5段階の階層で理論化した。
マズローが提唱した人間の基本的欲求を、高次の欲求から並べると以下になる。
自己実現の欲求、承認の欲求、社会的欲求 / 所属と愛の欲求、安全の欲求、生理的欲求。

マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階があると発表した。
それは自己超越 (Self-transcendence) の段階である。
さらに、自己超越者 (Transcenders) の特徴は以下だとしている。
・「在ること」 (Being) の世界について、よく知っている
・「在ること」 (Being) のレベルにおいて生きている
・統合された意識を持つ
・落ち着いていて、瞑想的な認知をする
・深い洞察を得た経験が、今までにある
・他者の不幸に罪悪感を抱く
・創造的である
・謙虚である
・聡明である
・多視点的な思考ができる
・外見は普通である (Very normal on the outside)
マズローによると、このレベルに達している人は人口の2%ほどであり、子供でこの段階に達することは不可能だとしている。(wikipediaより)

元号が変って初めての夏。
都内のある証券会社の資産運用部署である「アルカディア」。
「アルカディア」の責任者である、無敗のクイーンは考えていた。
東京証券取引所の取引は、少し前に終わっていた。

今朝、無敗のジャックが2銘柄への買い注文を入れた。
昨日のNYダウは、今年最大の下落幅だった。
東京証券取引所の取引開始前、NYダウの大幅下落により、売り注文が殺到していた。
ジャックの買い注文は、指値を下回る取引開始値で約定していた。

2銘柄の配当利回りは5%を超えている。
だが、配当狙いなら、他に高配当の株はいくらでもある。
にも関わらず、ジャックは保有している2銘柄を買い増ししている。
なぜ、ジャックは保有している2銘柄を買い増したんだ。

奴が編み出した投資手法、無限ナンピン。
無限ナンピンでは、株価が半値になる度に同数の株を買い続ける。
無限ナンピンのように、今回の買い増しには必ず何かしらの法則があるはずだ。
無敗のクイーンは、ジャックの取引履歴を調べることにした。

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