第251話 後を継ぐ者(前編)
スイス連邦、通称スイスは中央ヨーロッパにある連邦共和制国家。
永世中立国であるが、欧州自由貿易連合に加盟している。
また、バチカン市国の衛兵はスイス傭兵が務めている。
歴史によって、西欧に分類されることもある。
ドイツ、フランス、イタリアなどに囲まれた内陸に位置している。
国内には多くの国際機関の本部が置かれている。
首都はベルンで、主要都市にチューリッヒ、ジュネーヴ、バーゼルなどがある。
スイスにおける国防の基本戦略は、拒否的抑止力である。
スイスを侵略することによって得られる利益。
スイス軍の抵抗や国際社会からの制裁によって生じる損失。
損失の方が大きくなる状況をつくり出すことにより、国際紛争を未然に防ぐのである。
2002年の国連加盟後も、この基本戦略は変わっていない。
スイスには中世からの銀行業の歴史があり、多数の金融機関がある。
スイス銀行と言われる個人銀行は、顧客情報の守秘義務に関して国際的に有名である。
刑事事件が起こっても、原則として顧客の情報は外部に漏らさない。
この秘密主義の方針は、しばしば世界的な批判の的となっている。
ケルン大聖堂からスイスに聖杯が移動されてから、数十年後。
スイスで最も美しい教会があるといわれる街。
早朝、黒髪の女の子が街の通りを歩いて教会へ向かっていた。
「おはよう、春鈴(シュンリン)」、パン屋の太った店主が声をかける。
「おはよう、パン屋さん」、春鈴が笑顔で応える。
「今日も教会かい、毎朝、熱心だな」、パン屋の太った店主が笑いながらいう。
「パン屋さん、神様へのお祈りは大事よ」、春鈴が笑顔でいう。
「お祈りが大事なのはわかっているんだけどな」、パン屋の太った店主がいう。
「いつでも、どこでもいいのよ、お祈りは」、春鈴が笑顔でいう。
「今日も春鈴にとって、いい日になるといいな」、パン屋の太った店主がいう。
「ありがとう、パン屋さん、帰りに寄るね」、春鈴が笑顔でいう。
「本当、素直で明るい娘だね」、春鈴を見送るパン屋の店主に妻がいう。
教会に着いた春鈴は、教会の敷地に倒れている神父を見つけた。
春鈴は倒れている神父に駆け寄った。
「神父さん、どうしたの、大丈夫」
春鈴は倒れている神父に呼びかけた。
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