本ブログには、自身が初めて書いた小説「銘柄を明かさない理由R」がある。
5人の無敗の相場師、ロイヤルストレートフラッシュの物語である。
そして彼らを取り巻く人々の物語でもある。
もちろん、素人が書いた小説なので、プロの方が書いた小説の足元にも及ばないw
主要登場人物は、無敗の天然こと10(テン)、無敗の相場師J、無敗のクイーンことQ。
無敗の大物相場師キングことK、無敗の若き相場師エースことAである。
エースは天使のような笑顔をもつ男で、当然ながら、女性にモテる。
だが、自身がそんなにモテた経験がないので、書きにくいキャラであるw
「銘柄を明かさない理由R」はフィクションだ。
だが、自身は可能な限り、現実世界とリンクさせたいと考えている。
本章では、モテたことがない自身の願望でもあるエースが登場する。
それでは、「銘柄を明かさない理由R クーロンズ・アイ編」をお届けするw
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第271話 天使の降臨(前編)
その若い男が、地方都市の駅に降り立つのは数年ぶりだった。
駅前には、全国チェーンのファーストフード店や居酒屋が軒を連ねている。
その若い男、無敗のエースと呼ばれている男は、商店街へ向かって、歩き始めた。
業態が変わっている店もあれば、昔ながらの店もある。
エースが通り過ぎたあと、すれ違った女子中学生たちがひそひそと話していた。
エースは「天使の笑顔をもつ男」とも呼ばれている魅力的な笑顔の持ち主だった。
やがて、エースは目的の金融機関に辿りついた。
以前と変わらぬ場所にあることにエースは安堵した。
中に入り、窓口の女性行員に、貸金庫室は空いていますか、と笑顔でたずねた。
エースの笑顔に、一瞬、動きが止まった女性行員は、「あ、空いています」と答えた。
エースはカードキーと暗証番号で、貸金庫室のオートロックを解除し、中へ入った。
中にあるカードリーダーへカードキーを通すと、エースのボックスが点灯した。
エースは鍵を使い、自分のボックスを取り出すと、備え付けの机で中を確認した。
ボックスの中には、エースと家族との思い出があった。
両親や妹との家族旅行の写真、一人暮らしを始めた頃の両親からの手紙など。
このボックスの中にあるものが、エースにとっての家族との思い出全てだった。
エースは東京の大学に合格し、東京で一人暮らしを始めた。
一人暮らしを始めてから、両親と妹が住んでいた実家が全焼、家族全員が亡くなった。
警察によると、出火元から家族の誰かの火の不始末が原因だろうということだった。
火災により、家族との思い出の品はほとんど燃えてしまった。
この貸金庫にある写真や品物だけが、今となっては家族との思い出の品だった。
エースが家族の思い出を預けているのは、これ以上、失いたくないからだった。
元気でやっているから、そんな心配そうな目で見るなよ。
エースは家族との思い出をしっかりと目に焼き付けると、貸金庫室を出た。
窓口の女性行員は、出て行くエースを見送りながら思った。
入ってきたときは天使のような笑顔。
でも出て行くときは笑顔がすっかり消えている。
あの男の人は、いったい何を貸金庫に預けているのかしら。
駅へ歩きながら、エースは考えていた。
今の相場は、3年前の相場と同じ値動きをしている。
「欲深い外国人投資家どもを、痛い目に合わせてやるかな」
エースはいうと、天使のような笑みを浮かべた。
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