2024年11月20日水曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R039 最後の相場師(後編)

第039話 最後の相場師(後編)

是川とコウゾウが南海セメント本社を訪れた3週間後。
南海セメントは新株発行による増資を行うと発表した。
この発表により、半年前から上昇していた株価は急落した。
だが、是川とコウゾウは保有していた南海セメント株を全て売り抜けていた。

是川とコウゾウは、その後も多くの仕手戦に関わった。
1976(昭和51)年の日本セメント、1979(昭和54)年の同和鉱業。
1982(昭和57)年の不二家、1983(昭和58)年の丸善石油、平和不動産など。
中でも、1981年から1982年の住友金属鉱山の仕手戦は、是川の名を一躍、有名にした。

是川の生活は質素で、大阪市に多額の寄付を行うなど社会福祉事業にも力を入れていた。
1979(昭和54)年には、私財14億円を拠出し、是川奨学財団を設立した。
バブル崩壊後の1992(平成4)年、老衰により95歳で亡くなった。
遺産は、奥さんと暮らしていた2LDKのマンションだけだった。

1992(平成4)年の秋。
「ちょっと待ちいな」、是川の葬儀に参列した帰り道、コウゾウは声をかけられた。
コウゾウが振り向くと、喪服姿のヨドヤタエが追いかけてきていた。
「久しぶりに会うたんや、近くで茶でも飲まへんか」、タエがいった。

コウゾウとタエは、近くの喫茶店に入った。
注文した飲み物が運ばれると、タエが話し始めた。
「ホンマ、久しぶりやな、2年ぶりくらいになるんかな。
アンタはずっと是銀と一緒やったんかいな」、タエがいう。

「一緒だった、最後も看取った」、コウゾウがいう。
「そうかいな、是銀も嬉しかったやろな、愛弟子に看取ってもろうて。
紙袋に入ってんのは、是銀の家にあった額やろ」、タエが紙袋の額を見ながらいう。
「奥さんから渡された」、コウゾウは"誠と愛"と書かれた額を取り出した。

「アンタに持っといて欲しかったんやろな」、タエがいう。
「さあ、どうかな」、紙袋に額を戻しながら、コウゾウがいう。
「アンタはこれからどないするんや」、タエがいう。
「とりあえず、東京へ戻ろうかと考えている」、コウゾウがいう。

「寂しなるけどしゃあないな、大阪来たら、いつでも寄ってや」、タエがいう。
是川に株を教えてもらったタエは、是川との思い出話を始めた。
その後、東京へ戻ったコウゾウは、証券会社を立ち上げた。
証券会社の社名は、是川の人生訓である"誠と愛"からとった愛誠証券だった。

【本日の取引】20241120~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFも下がったので、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国政府によると、ロシアがウクライナに大規模攻撃を行う可能性があるらしい。
戦火が拡大しても軍需産業が儲かるだけなので、早期に平和的な解決をして欲しいw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
不動産経済研究所が10月の首都圏(1都3県)新築分譲マンション市場動向を発表した。
上記によると、1戸当たりの平均価格は前年比40.7%上昇の9,239万円だった。
建築資材価格や人件費が上がっていても、前年比40.7%上昇はぼったくりだと思うw

先日、高齢者を狙った不動産詐欺の記事を読んだ。
山奥にある1万円でも売れない土地を、数百万円で買わせている業者がいるらしい。
高齢者が認知症とかでなければ、罪に問うことは難しいらしい。
個人的には、不動産詐欺による被害を防ぐための法整備が必要だと思うw

2024年11月19日火曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R038 最後の相場師(中編)

第038話 最後の相場師(中編)

南海セメント株式会社は、明治時代に創業した土木資材の卸会社。
子会社には、公共工事を手掛ける株式会社間宮道路、関西臨海土木株式会社があった。
南海セメント株は過去に仕手株化しており、相場師の来須が手掛けることで知られていた。
昨年から来須が買い進めていることを知った是川とコウゾウも、密かに買い進めていた。

1973(昭和48)年の夏、大阪市北区。
スーツ姿の是川とコウゾウは、南海セメント本社ビルの前にいた。
「いよいよですね」、コウゾウがいう。
「さてと仕上げに行こうか」、是川はいうと玄関へ向かった。

受付の女性社員に、名前と約束していることを伝えると、応接室に案内された。
お茶を運んできた女性社員と入れ替わりに、恰幅のいい男性が入ってきた。
「本来ならこちらがお伺いさせていただくところ、ご足労いただき申し訳ありません。
はじめまして、南海セメントで常務をしている権田と申します」

権田の名刺を受け取った是川とコウゾウは、自己紹介した。
自己紹介が終わり、3人がソファに座ると、権田が話し始めた。
「先日、電話させていただいたのは、お願いがあったからです。
お二方は当社の株を一定数以上、保有されている株主様です。

当社は株主様の期待に応えるべく、これからも関西地区の発展に貢献してまいります。
つきましては、末永く当社の株を保有していただきたいのです」
是川は茶を手に取り、一口啜るといった。
「うまい茶ですな、株を保有して欲しい本当の理由をお聞かせ願えませんか」

愛想笑いを浮かべていた権田の表情が固まった。
「半年前まで100円台だった貴社の株価は600円を超え、今も上がり続けている。
どこぞの得体のしれない奴が貴社の株を買い占め、株価を吊り上げているとしか思えん」
是川はいうと、茶を受け皿に置いた。

「この先、乗っ取られたくなければ、株を買い取れといってくるやもしれん。
そのようにいわれたのなら、増資して株数を増やしてやればよい」、是川がいう。
「増資をすれば一株価値が下がり、株主様に迷惑をかけることになります」、権田がいう。
「得体のしれない奴が得をするより、増資した金で設備投資した方がよい」、是川がいう。

南海セメント本社からの帰りの電車。
「さすがに増資をするとはいいませんでしたね」、コウゾウがいう。
「常務だからな、これから役員会での審議に1週間、株主への根回しに1週間。
早ければ、2週間後に増資が発表される、それまでに全て売り抜ける」、是川がいった。

【現在の株式評価額】20241119~8306 ㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ高値更新~

Y&Kファンド(1銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:600,000円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:18,435,000円(BPS:16,704,500円)
・損益額合計:18,435,000円(損益率:#DIV/0!)

Rファンド(1銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:600,000円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:18,435,000円(BPS:16,704,500円)
・損益額合計:18,435,000円(損益率:#DIV/0!)

Sファンド(0銘柄)
・取得額合計:0円
・配当金合計:0円(配当利回り:#DIV/0!)
・評価額合計:0円(BPS:0円)
・損益額合計:0円(損益率:#DIV/0!)

【現在の株式評価額】には、ETFやデイトレードは反映していない。
不定期投稿だが、投稿するのは以下の場合にしている。
保有銘柄や株数を変更した場合、もしくは前回の投稿より評価額が増加した場合。
今回は、前回の投稿より評価額が増加した場合になるw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
2022年11月24日、ロシアがウクライナへ侵攻した。
侵攻開始から1,000日になるらしいが、早期に平和的な解決をして欲しいと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
欧州市場、米国市場先物、日経平均先物、ドル円などが急落している。
確認したが、原因となるような報道は見当たらなかった。
もしかすると、国内の新米価格が例年の1.5倍に値上がりしたことかもしれないw

追記
前述の急落の原因は、下記報道により地政学的リスクが高まったためらしい。
"ロシアのプーチン大統領は19日、核ドクトリンの改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和した。この数日前、ロシア領内への長距離ミサイル攻撃について米国はウクライナに限定的ながら許可していた。
プーチン氏はドローンを含む通常兵器による大規模攻撃を受けた場合の対応として、核による報復を可能にする大統領令に署名した。非核保有国が核保有国の支援を得てロシアやその同盟国に攻撃を仕掛ける場合、ロシアは共同攻撃だと見なすと、オンラインに掲載された大統領令は説明している。"
(2024年11月19日 Bloomberg News)
繰り返しになるが、早期に平和的な解決をして欲しいと思うw

2024年11月18日月曜日

【小説】銘柄を明かさない理由R037 最後の相場師(前編)

第037話 最後の相場師(前編)

是川銀蔵は1897(明治30)年、兵庫県生まれの相場師。
高等小学校(現在の中学1学年と2学年)卒業後、神戸の貿易商の元で奉公。
数々の職業を経たのち、大阪の北浜で株の世界に入った。
幾多もの仕手戦で名を馳せ、"最後の相場師"と称せられた。

1973(昭和48)年の夏、大阪の住宅街にあるアパートの一室。
コウゾウは朝刊の気になる経済記事を切り抜いて、ノートに貼り付けていた。
貼り付けが終わると、立ち上がって、本棚にノートを戻した。
本棚の上の棚には、会社四季報と経済記事を貼り付けたノートがびっしりと並んでいた。

コウゾウは下の棚にあるスケッチブックの一冊を手に取ると、再び座卓の前に座った。
座ると、方眼紙が貼り付けてある最初のページを開いた。
朝刊の株価欄を見ながら、株価チャートの続きを描き始めた。
描き終わり、次のページを開いたとき、下駄箱の上にある黒の電話機が鳴った。

玄関へ行き、受話器を取ると、ジツオウジ名義の口座がある証券会社からだった。
「おはようございます、佐藤です、ジツオウジさんでしょうか」
「ジツオウジです、おはようございます」
「本日の執行条件はいかがいたしましょうか」

「間宮道路は1,100円を超えたら、1,000株売り。
南海セメントは600円を切ったら、2,000株買い増しでお願いします」
「承知しました、ここだけの話、とっておきの情報があるのですが」
佐藤が他の銘柄を勧めてきたが、検討してみますといって電話を切った。

電話機の後ろの壁には、是川に書いてもらった「カメ三則」が貼ってあった。
①銘柄は水面下にある優良なものを選んでじっと待つこと
②経済、相場の動きから常に目を離さず自分で勉強する
③過大な思惑はせず、手持ち資金の中で行動する

コウゾウは「カメ三則」をつぶやくと、再び株価チャートの続きを描き始めた。
株価チャートからは、短期の値動きだけでなく、長期の値動きもわかる。
株価チャートを描いていると、時間が経つのが早かった。
以前、是川からいわれた、片手間でできることじゃないなと、あらためて思った。

株価チャートを描き終え、壁掛け時計を見ると、是川と約束した時間が迫っていた。
いけね、コウゾウは慌ててスーツに着替えると、部屋を出た。
部屋を出たコウゾウは、自転車で最寄り駅へ向かった。
最寄り駅に着くと、スーツにネクタイ姿の是川が待っていた。

【本日の取引】20241118~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFが上がったので、前日比はプラスだったw

下図の上は、2020、2021、2022、2023、2024年のTOPIX(東証株価指数)の推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円の推移。
米国がウクライナに対して、ロシアへの長距離兵器使用を許可したらしい。
次期大統領の意向なのかはわからないが、いずれにしてもリスキーな判断だと思うw
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追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
下記の県知事の失職に伴い行われた選挙で、失職した前県知事の〇〇氏が当選した。
"県民局長の男性職員が3月、〇〇氏の疑惑を指摘した告発文書を匿名で報道機関などに送付。県は公益通報として扱わず、男性職員を告発者と特定し、県民局長から解任した。5月には、「(文書は)核心的な部分が事実ではない」とし、男性職員を停職3か月の懲戒処分とした。男性職員は7月に死亡。自殺とみられる。
県議会は6月、真相究明に向けて百条委員会を設置し、〇〇氏や県幹部らへの証人尋問を実施。9月19日、「県政は停滞と混乱を極めている」として不信任を全会一致で決議した。〇〇氏は10日以内に議会を解散しなかったため、地方自治法に基づき同30日に自動失職した。"
(読売新聞10月31日配信)

当初の報道では、〇〇氏に問題があるとされていた。
自身も、問題のある知事だなと思っていた。
だが、疑惑を指摘した県民局長が亡くなったときに違和感があった。
なぜなら、自らの死をもって抗議する内容ではないように思ったからになる。

その後、巨額の負債がある県の財政や〇〇氏の実績を知った。
今回の選挙では、SNSの利用者が多い若い世代ほど、〇〇氏を支持する割合が多かった。
ネットには、マスコミの偏った報道が問題だという意見が多い。
だが、県政を停滞し混乱させたのは、亡くなった県民局長ではないかと思っている。