上海市(Shanghai)は、中華人民共和国の直轄市である。
有数の世界都市であり、同国の商業・金融・工業・交通などの中心地。
香港・北京と並ぶ中国最大の都市の一つである。
アメリカのシンクタンクの総合的な世界都市ランキングで、世界9位と評価された。
上海市の高級マンションの一室。
学校から帰ってきた女の子は、家庭教師の日本人の男に日本語を教わっていた。
ブロンドの髪をポニーテールにした女の子、マチルダは、日本語を教わりたくなかった。
だが、父親の勧めで教わりたくなかった日本語を教わることになった。
日本語を教わることを勧めた父親は、母親の再婚相手だった。
母親の再婚相手は、中国人で名前を劉宋明(りゅうそうめい)といった。
冷たい感じのする劉宋明を、マチルダは好きになれなかった。
ある日の夜、めずらしく家族全員で夕食をとっていたときのことだった。
劉宋明が、マチルダに日本語を教わらないかといってきた。
返事をしないマチルダを気づかった母親のレナールが、口を開いた。
「どうして、この子が日本語を教わらなくちゃならないの」
劉宋明はナイフとフォークを置くと、ナプキンで口を拭いていった。
「昔のことだが、同い年で俺と同じくらい貧しい友人がいた。
だが、その友人は、自分のことよりも、他人のことを気にしてくれる奴だった。
当時、俺は妹と写真を撮りたいと思ったことがあった。
だが、家が貧しかったので、写真を撮ってもらう金を用意できなかった。
友人にそのことを話すと、友人は任せとけといってくれた。
翌日、当時は高価だったポラロイドカメラを携えた中年の男が家にやってきた。
中年の男は、俺と妹に写真を撮ってやるといった。
金がないという俺に、中年の男は、金はあるだけでいいといった。
寝ている母親を残して、俺と妹は中年の男に写真を撮ってもらった。
中年の男はポラロイドカメラで撮った写真を、俺と妹に渡してくれた。
お礼に小銭を渡そうとした俺に、中年の男はいった。
ダチから金は貰っている、いいダチをもったなと」
マチルダとレナールが聞き入る中、劉宋明が続ける。
「そのあと、俺は友人に礼をいおうとして、友人を探した。
ところが、友人は俺の前に現れることはなく、二度と会うことはできなかった。
しばらくして、俺は友人のある噂を聞いた」

0 件のコメント:
コメントを投稿