2026年5月13日水曜日

【本日の取引】20260513~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
昨年、売り抜けた銘柄は、買値を下回っている銘柄が多くなってきた。
ただ、売り抜けたときより、上がっている銘柄もあるので、結果は出ていないw
--------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
現在、「神崎教授とAIの事件ファイル」というミステリー小説を書いている。
サイバー犯罪がテーマにあるため、AIにいろいろと教えてもらいながら書いている。
以前、やりとりしている中で、なるほどと思ったことがあったので書いてみるw

以前からだが、iPhoneの取扱説明書が無くなった。
AIに無くなった理由を聞くと、以下だった。
「説明書を読ませるという手間を省く代わりに、人間の本能やこれまでの習慣を徹底的に分析したUIデザインによって、触ればわかる仕組みを作り上げている」w

わかりやすく書くと、以下になる。
「作り手が人間の習性を緻密に計算し、私たちがそれに応えて無意識に慣れていく」
個人的には、育った時代や環境で、慣れる人と慣れない人がいる。
一律に無くすのではなく、オプションで取扱説明書を用意した方がよいと思うw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP17 カウントダウン

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP17 カウントダウン

警視庁のサイバー犯罪対策課。
「た、たった今!システムが復旧しました!
テレビをご覧の皆様!ご安心ください!システムが復旧しました!」
捜査員たちは手を止めて、モニターに映る報道特別番組を観ていた。

捜査責任者の岩田が、怒りを抑えきれず、机を叩いていう。
「なぜ、こちらに連絡しなかったんだ!
連絡があれば、放送時間を打合せして、上条を逮捕できたかもしれないんだぞ!」
捜査員たちも同じ思いなのか、誰も言葉を発しなかった。

確かに、こちらに連絡があれば、上条を逮捕できたかもしれない。
だが、こちらの動きを察知したら、システムを復旧しなかったかもしれない。
その場合、我々だけでなく、放送局も責められる可能性がある。
放送局がこちらに連絡しなかった理由もわかるような気がする、佐藤は思った。

システムが復旧してから、他の放送局も犯人の要求動画を放送し始めた。
ネットには、要求動画に関する多くの記事が、配信された。
夕方から夜にかけてのニュース番組は、何度も要求動画を流した
日本国民の多くが、要求動画を目にすることになった。

-----------------------------------------------------------------------------
スレタイ:【速報】大場玲が日本をオーバーレイする件

1:名無しさん
動画見たか?1週間以内に全トップを40歳以下にしろ。さもなくば停電だって。
2:名無しさん
これ日本への宣戦布告だろ。
3:名無しさん
無理ゲーすぎワロタ。1週間で全組織のトップ交代とか、手続きだけで1年かかるわw
4:名無しさん
サイバー攻撃じゃなくて爆破とかやる気か?
5:名無しさん
電力設備壊されたら俺らのスマホ充電できなくなるじゃん。それは困る。
6:名無しさん
でもさ、正直「40歳以下に」ってのはスカッとするわ。今の日本の停滞感、マジで老害のせいだし。
7:名無しさん
テロリストに共感してて草。病院のシステムをダウンさせた奴だぞ。
8:名無しさん
政府にはサイバー対処能力強化法があるから安心。
9:名無しさん
ネット通販でモバイルバッテリーが売り切れててワロタ。
10:名無しさん
意外と社会のオーバーレイを待ってた奴らも多いんじゃないか?
11:名無しさん
  9
  マジ?
12:名無しさん
官房長官の会見始まったぞ。顔色真っ青でワロタ…いや笑えねえわ。
13:名無しさん
とりあえず電池とソーラー発電セット買ってくる。
14:名無しさん
さっき行ったけど、すでに売り切れだった…。
15:名無しさん
あと7日…カウントダウンが始まったな。

-----------------------------------------------------------------------------

東京都中野区。
仕事帰りの佐藤はファーストフード店での夕食を終え、警察待機寮へ向かっていた。
大通りから外れた道を歩いていると、前からカバンを手にしたスーツ姿の男が歩いてきた。
この時間に、この方向から来るスーツ姿は見たことがないなと思ったが、歩き続けた。

男は佐藤の手前で止まり、話しかけてきた。
「サイバー犯罪課の佐藤波流くんだね。
私は公的な機関に属している者だ。君に頼みがある。
元東京中央技術大学の神崎教授を官邸に連れてきて欲しい」

「公的な機関って、どこの方ですか」、佐藤がいう。
「詳しいことはいえない。いつ官邸に来れるか、神崎教授に聞いておいて欲しい。
明日も、夕食をとったファーストフード店に立ち寄って欲しい。
そのときに、いつ来れるか、聞かせてもらう。この件はくれぐれも内密に」、男がいう。

「神崎先生には、何といえばいいんですか」、佐藤がいう。
「そうだな、国が聞きたいことがあるとでもいってくれ」、男がいう。
「明日、会う人も、あなたなんですか」、佐藤がいう。
「こちらから接触するので心配しなくていい。では頼んだよ」、男は立ち去った。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月12日火曜日

【本日の取引】20260512~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
その下は、2022年からの日経平均株価と投資主体別売買状況の推移。
4月から、海外投資家は買い越しているが、証券自己(証券会社)は売り越しているw
--------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
先日、日本企業へのサイバー攻撃が増えているという記事を読んだ。
以前、AI(人工知能)と、その件でやりとりしたことがある。
誰かの参考になるかもしれないので、書いてみるw

日本国内におけるサイバー犯罪の検挙件数は、急増している。
2010年:約5,200件 → 2025年:15,108件(過去最高を更新)。
2024年のランサムウェア(身代金ウイルス)の被害件数は222件
特に、中小企業の被害が前年比で37%増加しているらしいw

AIによると、日本のサイバー犯罪が増えている理由は以下。
・日本のサイバー防衛力は先進国の中では決して高いとはいえない。
・「個人の知識不足」が際立った弱点(セキュリティ知識の欠如)。
・攻撃者が「日本は狙いやすい」と考えている。

日本の経済力やITインフラはトップクラス。
だが、利用者の知識レベルが主要国(G7など)の中で最下位レベルらしい。
現在、書いている小説「神崎教授とAIの事件ファイル」がある。
テーマの中に、サイバー犯罪があるが、タイムリーなテーマかもしれないw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP16 犯人の要求動画

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP16 犯人の要求動画

東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
朝食を済ませた神崎が書斎に入ると、人感センサーにより、モニターが明るくなった。
「おはよう」、AIのYUKIがいう。
「ああ、おはよう」、神崎が椅子に座りながらいう。

「昨日は大変だったわね…都内の病院…」、YUKIがいう。
「東中技大(東京中央技術大学)病院は大丈夫だったんだろ」、神崎がいう。
「東京都を装ったメールは来てたけど、ブロックしたわ」、YUKIがいう。
「都内でまともに動いているのは、東中技大病院だけか」、神崎がいう。

「東中技大病院の火災は、病院をシステムダウンさせるための前振りだったのね。
東中技大病院でドローンを使った火災を起こす。
東京都の事件の注意喚起を装ったランサムウェアメールを、病院に送る。
受け取った病院は、疑うことなく開封、システムが使えなくなる」、YUKIがいう。

「わからないのは、病院をシステムダウンさせた目的だな」、神崎がいう。
「あえて呼び捨てにするわね。
上条が病院をシステムダウンさせても、日本社会のオーバーレイにはならない。
過去の世界中の事件を検索したけど、同様の事件はなかったわ」、YUKIがいう。

「あっ、今、テレビに速報のニューステロップが出たわ」、YUKIがいう。
モニターに、民放テレビのグルメ番組が表示された。
マイクを手にしたリポーターが、店主にオススメのメニューを聞いている。
上に、「【速報】病院をシステムダウンさせた犯人から要求動画」のテロップがある。

グルメ番組が、報道特別番組に切り替わった。
スタジオには緊張した面持ちで、原稿を手にしたアナウンサーがいた。
「予定を変更して、報道特別番組をお送りします。
昨日、都内の病院をシステムダウンさせた犯人から要求動画が届きました」

真っ赤な背景に黒字の「OVERLAY」が書かれた画面が表示された。
画面がゆっくりとスクロールして、犯人のメッセージが現れ始めた。
「犯人は、1週間以内に全ての公的機関のトップを40歳以下にするよう要求。
従わなければ、電力供給設備を使えなくするとのことです」、アナウンサーの声がする。

------------------------------------------------------------------------------------
OVERLAY

現在の日本社会において、経済・政治・文化の各層で新陳代謝が停滞している原因は、社会が、20世紀後半の旧仕様のまま固定されていることにある。もはや正規のプロセス(選挙、改革等)での再起動は不可能である。現在の基盤を壊すことなく、その上に新たな基盤をオーバーレイ(上書き)することで、各層の新陳代謝が可能になる。

全ての公的機関に要求する。
1週間以内に全ての公的機関のトップを40歳以下にすること。
従わない場合、都内の電力供給設備を使用不能にする。

大場玲

------------------------------------------------------------------------------------

スクロールが止まり、メッセージが固定され、アナウンサーの声がする。
「大場玲を名乗る犯人から、この動画を添付したメールが送られてきました。
メールには、犯人でしか知りえない内容が書かれていました。
また、この動画を放送すれば、病院のシステムを復旧させるとありました。

私どもは放送局としての社会的責任を果たすべく、放送に踏み切りました。
現在、システムが使えなくなった病院に局員を派遣しています。
犯人が約束通り、システムを復旧させるのか、皆様と確認したいと思います」
画面の右下が、病院の玄関前にいる男性リポーターの映像になった。

「私は今、赤坂にある賢城坂病院前に来ています。
これから中へ入り、システムが復旧されるのか、確認したいと思います」
男性リポーターは、カメラマンと一緒に病院の中へ入っていった。
画面の右下が切り替わり、別の病院の玄関前にいる女性リポーターの映像になった。

「私は今、江東区の国際流星病院前に来ています。
犯人はシステムを復旧するのか、これから中へ入って、そのときを待ちたいと思います」
画面の右下が切り替わり、別の病院前にいるリポーターが同じことを話した。
その後も次々と切り替わり、多くの病院に局員が派遣されていることを伝えた。

「犯人は約束通り、システムを復旧するのでしょうか。
皆様とともに、その瞬間を待ちたいと思います。
えっ、はい…たった今、システムが復旧したと連絡がありました。
現地の映像に切り替えます」、アナウンサーが興奮を押し殺した声でいう。

画面全体が、賢城坂病院のエントランス映像に変わった。
中から走り出てきた男性リポーターが興奮した声でいう。
「た、たった今!システムが復旧しました!
テレビをご覧の皆様!ご安心ください!システムが復旧しました!」

「よく考えられた計画ね…」、YUKIがいう。
「そうだな。復旧させたことで、単なるテロリストではないことを印象付けた。
また、電力供給設備を使用不能にできる実力があることをわからせた」、神崎がいう。
「上条がダークヒーローにならないか心配だわ…」、YUKIがいう。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月11日月曜日

【本日の取引】20260511~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFも上がったので、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
その下は、2015年からの個人投資家の信用評価損益率と買い残と売り残金額の推移。
信用取引の買い残金額が減っていたが、再び増え始めていることがわかるw
--------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
先日も書いたが、今年になってから海外からのアクセスが急増している。
AIによると、インターネット全体がAI中心の仕組みに書き換わっていることが原因。
本ブログもだが、「アクセス数は多いのに読者は少ない」という状態になっているw

本ブログはBloggerを利用しているが、Bloggerの統計では日本より海外のアクセスが多い。
ところが、Google アナリティクス(解析ツール)だと、ほぼ日本だけになる。
Google アナリティクスは、海外からのスパムを統計に含まないことが理由。
したがって、ブログのPV数が多くても、大半が海外からのスパムだと思って欲しいw

現在、書いているミステリー小説「神崎教授とAIの事件ファイル」。
先日から、小説サイトにも掲載している。
このサイトにも統計機能があり、一日の読者数などがわかるようになっている。
海外からのスパムがないので、PV数は少ないが、読者数の確認が日課になったw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP15 医療体制の崩壊

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP15 医療体制の崩壊

江東警察署の通信指令室。
国際流星病院からの第一報が入ったのは午前9時30分のことだった。
「はい、110番…ええ、病院のシステムが? 全面停止?」
当初、通信員は「よくある機器の故障」を疑った。

しかし、電話を終えた瞬間、別の病院から通報があった。
「はい、110番…都から届いたメールを開いてからシステムが使えない?」
その後も、次から次へと病院関係者からの通報が入り始めた。
さらには受診を拒否された区民からの通報も入り始めた。

警視庁のサイバー犯罪対策課。
国際流星病院からの通報を確認していた捜査員たちの手が、一斉に止まった。
「また来ました! 港区の慶明大学病院、システムダウンです!」
「 文京区の聖華女子大病院、電子カルテがロックされたと110番入りました!」

報告が入るたびに、壁面の巨大モニターの地図に、位置を示す赤い光点が増えていく。
都内の基幹病院が、次々と「死」に追いやられているようだった。
どこまで増えるんだ、捜査責任者の岩田が、忌々しげにモニターを睨みつける。
電話のベルは鳴り止まず、無線からは現場の混乱を伝える様子が絶え間なく流れてくる。

「救急隊から悲鳴が上がっています! 
何台もの救急車が受け入れ先を探して都内を彷徨っています!」
「交通管制センターから連絡!
 病院周辺の道路が、受診を拒否された車で大渋滞を起こしています!」

都内の医療ネットワークという、巨大なインフラが音を立てて崩れていく。
岩田の視線の先にあるモニターの地図に、さらに赤い光点が増えた。
世田谷、中野…クソッ、狙い撃ちか。これは偶然なんかじゃない。
都内の病院を『人質』に取った、見えないテロだ。

岩田はデスクを叩き、怒鳴るように指示を飛ばした。
「全署に連絡! 病院周辺の交通整理を最優先させろ!
佐藤波流!サイバーフォース(警視庁サイバー緊急捜査隊)と、国際流星病院へ行け!
サーバーをデジタル鑑識して、原因を特定してこい!」

「了解」、佐藤は敬礼すると、部屋を飛び出した。
5分後、必要な機材を携えた佐藤とサイバーフォースを乗せた車両が、警視庁を出た。
都内の基幹病院のシステムが、機能を停止していた
上条のランサムウェアを仕込んだメールは、都内の医療体制を混乱に陥れていた。

30分後、東京都江東区の国際流星病院。
大勢の人がいるロビーに、黒のレイドジャケットを着た男たちが入ってきた。
レイドジャケットの背中には、白抜きで『警視庁』の文字があった。
佐藤は受付に、警視庁サイバー犯罪対策課で、責任者の元へ案内して欲しいと伝えた。

事務室で、加藤を始めとする事務員たちから、感染した際の経緯をヒアリングした。
ヒアリング後、病院内のサーバールームに機材を持ち込み、デジタル鑑識を始めた。
東京都のアドレスに偽装したランサムウェアを仕込んだメールが原因だと判明した。
メールは、パナマのサーバーから送られていたことがわかった。

このサーバーのIPアドレスは見覚えがある。
7月から8月に複数の会社へ送られたランサムウェアメールの送信元と同じだ。
「AES-256」を使って暗号化する手口も同じ、上条雷人の犯行に間違いない。
我々に対する挑戦なのか、佐藤はサイバー犯罪対策課へ鑑識結果を報告した。

神奈川県横浜市。
裁判所からの令状を携えた神奈川県警の捜査員たちが上条雷人の自宅へ向かった。
自宅があるマンションで呼び出ししたが、応答はなかった。
管理会社に鍵を開けてもらうと、家具や家電がない空き部屋になっていた。

翌朝。東京都心はかってない「医療体制の崩壊」と共にあった。
医療システムは機能不全に陥っており、基幹病院は陸の孤島と化していた。
最先端の医療設備を備えた病院は、今はただの巨大なコンクリートの塊に過ぎなかった。
そこでは、精密機器たちが、魂を抜かれたかのように沈黙している。

医師たちは、埃を被った手動の血圧計や聴診器を探し回っていた。
看護師たちは、暗闇に近い廊下を、手書きのメモを握りしめて走り回る。
彼らは己の五感と経験だけを頼りに、助けを求める患者たちの命を繋ぎ止めていた。
それは文明が数世紀分も後退したかのような、心もとない光景だった。
【ランサムウェア(Ransomware)】
身代金を意味する「Ransom」とソフトウェアの「Software」を組み合わせてできた言葉で、会社のパソコンやサーバーに侵入し、保存されているファイルを勝手にロックした上で、元に戻す代わりに金銭を要求する悪質なプログラム。
【AES-256】
256ビットの鍵を使用する最高強度の共通鍵暗号方式。米国政府や世界中の金融機関が機密データ保護に採用する国際標準規格。スーパーコンピューターでも解読に数百兆年以上かかるとされる。総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)に対して実質的に免疫がある。
【IPアドレス( IP address)】
インターネットにおいて基本的に利用されている通信プロトコル(通信に関する規格)で、通信相手を識別するための番号。インターネットアドレスとも呼ばれる。データリンク層のMACアドレスを物理アドレスということに対応して、論理アドレスとも呼ばれる。IPのバージョン(IPv4とIPv6)に応じて、IPv4のIPアドレス(IPv4アドレス)とIPv6のIPアドレス(IPv6アドレス)がある。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月10日日曜日

【エッセイ】ブログへの海外からのアクセスが増えた理由

過去に、ブログへの海外からのアクセスが増えたことがあった。
調べたところ、多くがリファラースパムだった。
今年になってから、海外からのアクセスが増えている。
AI(人工知能)に確認したところ、意外な理由だったので書いてみるw

AIによると、海外からのアクセスが増えているのは、自身のブログだけではないらしい。
自身はBloggerを利用しているが、他のブログサービスも増えているとのこと。
海外からのアクセスが増えている理由は以下らしい。
「インターネット全体がAI中心の仕組みに書き換わっている過程で生じている副作用」w

以下は、AIによる理由説明。
-----------------------------------------------------------------------------------
最近のアクセス急増の主な原因として、以下の3点が考えられます。
【1. 生成AIのトレーニング用スクレイピングの激増】
ChatGPTなどの生成AI(大規模言語モデル)を開発する企業が、モデルの学習のためにウェブ上の膨大なデータを収集しています。
・内容:従来の検索エンジンとは異なる「AI専用のクローラー」が、昼夜を問わずサイト内のテキストを読み取っています。
・特徴;以前のボットよりも巡回頻度が高く、サイトを丸ごと読み込もうとするため、アクセス数が異常に跳ね上がることがあります。
【2. AIを活用したスパムの自動化と巧妙化スパム】
発信者側もAIを導入したことで、攻撃の効率が格段に上がっています。
・内容:人間の行動パターンに似せた複雑な巡回や、解析ツールのフィルターをすり抜けるための偽装(住宅用IPアドレスの使用など)をAIが自動で調整して行っています。
・特徴:短期間に大量のアクセスを発生させるだけでなく、特定の国(アメリカなど)のサーバーを介して組織的に行われることが増えています。
【3. AIによる「回答エンジン」へのシフト】
Googleなどの検索エンジンが「AIによる概要(AI Overviews)」を導入したことで、ウェブ全体のトラフィック構造が変化しています。
・内容:AIが情報を要約して提示するため、ユーザーが個別のサイトをクリックしにくくなりました。
・影響:本物の人間によるアクセスが減る一方で、情報の鮮度を保つためのボット巡回だけが増えるという、「アクセス数は多いのに読者はいない」という現象が起きやすくなっています。
【まとめ】
現在のアクセス急増は、単なる「嫌がらせ」だけでなく、インターネット全体がAI中心の仕組みに書き換わっている過程で生じている副作用といえます。Bloggerをお使いの場合、プラットフォーム側の対策(ボット除外の精度向上)を待つことになりますが、現状は「数値の異常はAI時代のノイズ」と割り切り、不審なリンクを踏まないという基本対策を継続するのが最も安全です。

-----------------------------------------------------------------------------------
自身もAIとやりとりすることがあるが、AIは参照先のリンクを貼ってくれたりする。
つまり、AIとやりとりしていれば、参照するサイトを選べる。
今までなら、検索でヒットしたサイトを、訪れる必要があった。
AIとやりとりすることで、訪れるサイトは少なくなったように思うw

AIとやりとりする中で、よく使うのが、「まとめ」。
やりとりが長くなると、「ここまでをまとめて」という。
すると、瞬時にわかりやすく、まとめてくれる。
まとめてもらった後は、おかしな点があれば確認、なければ終わることが多いw

現在、AI中心の仕組みに書き換わっている途中。
検索機能はなくならないと思うが、人間の検索数はある程度まで減少すると思う。
いずれ、「今はAIが検索してくれるけど、昔は違った。信じられないかもしれないが、人間が検索してたんだ」といって、驚かれる時代が来るかもしれないw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP14 ホスピタル・パニック

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP14 ホスピタル・パニック

加藤がメールを開封すると、ランサムウェアがシステム内に侵入した。
侵入すると、ネットワーク内を探索し、管理者権限を奪取した。
管理者権限を奪取したことにより、全サーバーへのアクセスが可能になった。
重要な情報を外部へ送信すると。一斉にランサムウェアを実行した。

あれ、重いな…加藤がメールを開いた瞬間、マウスカーソルが固まった。
内部では、目に見えないスクリプトが、メモリ上へ静かに展開されていく。
数秒後、ファンの回転数が跳ね上がり、排気口から熱風が吹き出した。
CPU使用率が100%になり、ハードディスクのアクセスランプが点滅を繰り返す。

マルウェアが数万個のファイルを、猛烈な勢いで暗号化し書き換えているためだった。
画面上のファイルは、次々と見覚えのない白いアイコンに変わっていく。
ファイルの拡張子は、全て「.locked」に変わった。
中身は世界最強の暗号規格AES-256によって、意味を持たないランダムな文字列に変わった。

現在のスーパーコンピュータを全開で回しても、解読には宇宙の寿命以上の時間がかかる。
鍵を持つ上条以外、このデータを元に戻せる者は、この世に存在しなかった。
加藤は指先を震わせ、強制終了のために電源ボタンを力任せに押し込んだ。
消えろ…消えてくれ…画面が真っ暗になると、加藤は深くため息をついた。

見なかったことにしよう。俺のせいじゃない。機械の故障だ。
定年まであと半年。余計なトラブルで評価を下げたくない。
加藤は平静を装い、ノートパソコンを閉じ、医療機器のカタログを見始めた。
出社した事務員たちがノートパソコンを開くと、しばらくして、次々に声がした。

「あれ、おかしいな…」、「ちょっと、私のパソコン変なんだけど」
事務員の田中が席を立ち、加藤の元へやってきていう。
「加藤さん、パソコンが変なので見てもらえます」
「えっ、あ、いや、私は…」、加藤は脂汗を浮かべて言葉を濁した、

「どうしたんですか」、騒然とする事務室に、場違いなほど平坦な声がした。
最年少の事務員の佐々木が、コンビニの袋を下げたまま自分の席に立っていた。
佐々木は、近くの事務員のノートパソコンの画面を覗き込み、いった。
「これ、ウイルスですよ。それもタチの悪いランサムウェア」

「う、ういるす…?」、加藤が震える声で聞き返すと、佐々木が答えた。
「ええ、誰かが不用意にメールの添付ファイルかリンクを開いたんでしょうね。
おそらく、全端末、ネットワーク経由で感染済みのはずです」
「佐々木くん、どうしたらいいの」、事務員の佐伯が聞く。

「もう手遅れですよ。電源切ったところで、中のデータは全部ゴミに変わってますよ」
佐々木は自分の席に座ったが、ノートパソコンを開こうとしなかった。
コンビニの袋から取り出した缶コーヒーを開けると、ため息をついた後に飲み始めた。
病院内に異常を知らせる非常ベルが鳴り響き始めた。

事務室を出た加藤は、重い足取りで最上階の病院長室へと向かった。
ドアをノックし、「どうぞ」という声がすると、ドアノブを回して、中に入った、
豪華な椅子に座り、窓の外を眺めていた病院長の長谷川が振り返っていう。
「加藤くん。朝から騒がしいが、何事かね。外来の受付が止まっていると連絡があったが」

加藤は佐々木から聞いた言葉を必死に思い出しながら、消え入りそうな声で告げた。
「その…システムが、ウイルスに。ランサム…なんとかというウイルスに」
事務室のPCは全滅。おそらく、院内の全システムも…」
「全システムだと? 電子カルテも、検査データもか?」、長谷川がいう。

「はい。ウチの佐々木の話では、ネットワークを通じてすべて感染したと。
復旧の目処は…立っておりません」、加藤がいう。
「…バカな。当院のセキュリティは万全だったはずだ」、長谷川の声が、怒りで震えている。
加藤は、自分が開いたメールのことは、どうしても言い出せなかった。

「先生、現場(各診療科)からは悲鳴が上がっています。
手術の続行、人工透析の管理…どう指示を出せば…」、加藤がいう。
「…直ちに全館に非常事態宣言を出せ」、長谷川は絞り出すようにいった。
その顔からは血の気が失せ、先ほどまでの威厳は消え失せていた。

「救急車の受け入れは全面停止。今日の手術もすべて中止だ。
今の我々は巨大な箱の中に閉じ込められた無力な存在だ」、長谷川がいう。
「かしこまりました」、加藤は一礼すると、急ぎ足で退室した。
窓の外から、何も知らない救急車のサイレンが、国際流星病院に近づいてきていた。

救急外来の自動ドアが開くたびに、熱気と怒号が流れ込んできた。
「カルテが出ない! 患者の病歴もアレルギーもわからないぞ!」
「検査科から連絡です、血液検査の装置がサーバーエラーで止まったって!」
看護師は、真っ白になったモニターを前に、手書きのメモ用紙を手に立ち尽くしていた。

「70代男性、急性心筋梗塞の疑いです!」
何も知らない救急隊員がストレッチャーを運び込みながらいう。
「受け入れられません! システムがダウンして、何もできないんです!」、看護師がいう。
「なんだって!? もうすぐそこまで来てるんだぞ!」、救急隊員がいう。

「停電か!?」手術室に執刀医の叫びが響いた。
術野を映していた4Kモニターが砂嵐に変わり、聞き慣れない警告音が手術室を満たした。
「いえ、電源は生きてます。システムエラーです! 麻酔器のデータが同期されません!」
麻酔科医がダイヤルを回すが、デジタル制御された最新機器は、入力を一切受け付けない。

「血圧が下がってる! モニターが見えない状態で閉腹しろというのか!」
執刀医の手元を照らす無影灯だけが、術野を照らし出している。
「アナログの血圧計を持ってこい! 早く! 10年前の道具を全部引っ張り出すんだ!」
医師たちは、己の五感だけを頼りに、暗闇の中を泳ぐような戦いを強いられた。
【スクリプト(Script)】
コンピュータに対する命令をテキスト形式で記述した簡易的なプログラム。コンパイル(機械語への変換)が不要で、作成してすぐに実行できるため、定型業務の自動化やWebサイトの動的な処理に広く使われている。
【メモリ(RAM)】
パソコンやスマホがデータを一時的に記憶する「作業台」の役割を果たす高速な半導体記憶装置。容量(GB)が大きいほど、一度に多くの作業を高速に処理できる。主に8GB以上が一般的で、高負荷な作業には16GB〜32GB以上が推奨される。
【CPU】
中央処理装置。コンピュータの「頭脳」にあたり、データの演算、命令の実行、各装置の制御を行う最も重要な部品。性能が高いほど動作が快適になり、主にIntel(Core iシリーズ)とAMD(Ryzenシリーズ)が主流で、用途(オフィスワーク、ゲーム、動画編集)に合わせてコア数や動作周波数(GHz)が選ばれる。
【AES-256】
256ビットの鍵を使用する最高強度の共通鍵暗号方式。米国政府や世界中の金融機関が機密データ保護に採用する国際標準規格。スーパーコンピューターでも解読に数百兆年以上かかるとされる。総当たり攻撃(ブルートフォース攻撃)に対して実質的に免疫がある。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月9日土曜日

【エッセイ】宇宙の知的生命体とコンタクトできる確率

米国で、‌未確認飛行物体(UFO)⁠や宇宙人、地球外生命体に関する機密文書を公開。
米国​民に対し、「前例のない透明性」を提供するらしい。
ふと、宇宙の知的生命体とコンタクトできる確率を知りたくなった。
AI(人工知能)に確認して、わかったことがあるので書いてみるw

現状は、計算に用いる理論や仮定によって大きく変動するため、「正確な数値は不明」。
知的生命体が存在する確率は、代表的な考え方として以下の2つの視点があるらしい。
・楽観的な見方:銀河系だけでも100万もの文明が存在する。
・現実的・悲観的な見方:銀河系には地球人しかいないw

知的生命体とコンタクトできる確率は、存在確率よりもさらに低いと考えられている。
理由としては「距離と時間の壁」「文明の短命さ」「あえて隠れている」などがあるらしい。
「距離と時間の壁」は以下になる。
宇宙があまりに広大で、文明が発した信号が届く前にその文明が滅んでしまうw

いったい、どれくらい広大なのか、AIに確認した。
宇宙の大きさは「光年(光が1年間に進む距離)」で表される。
光は1秒間に約30万km(地球を7周半する速さ)進む。
つまり、1光年は約9兆4600億kmという膨大な距離になるw

太陽系の大きさは0.002光年。
太陽から一番外側の惑星(海王星)までは約45億kmあり、光の速さなら4時間ほど。
太陽系がある銀河系(天の川銀河)は、数千億個の星が集まった巨大な円盤状。
端から端まで移動するには、光の速さでも約10万年(約10万光年)かかるらしいw

太陽系は、銀河の中心から約2万6000光年ほど離れた「田舎」のような場所にある。
最も近い大型の銀河「アンドロメダ銀河」までは、約250万光年離れている。
もし、天の川銀河の知的生命体が地球人だけだった場合。
最も近くの知的生命体とは、約250万光年以上、離れていることになるw

理論と観測によって確認できている「観測可能な宇宙」の大きさがある。
この大きさは、直径で約930億光年(半径で約465億光年)の球状の範囲。
宇宙は広大なので、知的生命体が存在する可能性はある。
だが、距離があるため、会えるまでの時間を考えると、会える確率は低いw

理論と観測から、宇宙は約138億年前に誕生、光速を超える速さで膨張し続けている。
わかりやすいイメージとしては、水を注ぎ続けている水たまりが「宇宙」。
水たまりに浮かんでいる木の葉が「銀河」になる。
木の葉自体は広がらないが、木の葉と木の葉の間は広がっていくw

今まで、宇宙に知的生命体が存在する確率は高く、会える確率も高いと思っていた。
だが、「距離と時間の壁」を知り、会える確率が低いことがわかった。
地球の文明が長く続けば、会える確率が高くなる。
地球の資源で争うヒマがあるのなら、他の星の資源開発などで争って欲しいと思うw

宇宙は約138億年前に誕生したとされているが、大きさはわかっていない。
膨張し続ける理由は「ダークエネルギー」にあるとされている。
だが「ダークエネルギー」についても、わからないことが多いらしい。
宇宙の仕組みは、人間には理解できないのかもしれないw

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP13 オーバーレイの始まり

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP13 オーバーレイの始まり

東京都中野区の警察待機寮。
8帖一間のワンルームには、最低限の家具と私物の高性能なPCと技術書があった。
近くのファーストフード店での夕食を終えて帰宅した佐藤波流はテレビを観ていた。
ニュース番組は、東京中央技術大学病院での火災について伝えていた。

非常電源装置で起こった火災は、何者かがドローンを使って起こしたらしい。
テレビは、火災の様子を捉えた空撮映像とドローンの飛行映像を流していた。
神崎先生と会っていた時に、火災が起こっていたのか。
佐藤は頭の中で、神崎と会うまでの経緯を振り返った。

きっかけは、7月から8月にかけて起こった複数の会社へのサイバー犯罪。
会社へランサムウェアが仕込まれたメールを送る。
メールを開封しただけで、ランサムウェアが会社のシステムを使えなくする。
端末には、復旧して欲しければ、身代金を払えという犯人からのメッセージが表示される。

支払い方法は暗号資産で、個人名の口座を開設して、所定の口座に振り込ませる。
犯人が振込確認すると、当日中にシステムを使えるようにする。
以前からある手口だが、今回は身代金の金額設定が絶妙だった。
復旧に要する費用と逸失利益を考えると、払いたくなる金額だった。

会社からの被害届を受理してから、被害を受けた会社のサーバーのデジタル鑑識を行った。
デジタル鑑識を行ったところ、メールはパナマのサーバーから送られていた。
さらに追跡するには、そのサーバーのログが必要になる。
だが、パナマは秘匿性が高く、ログの開示には否定的なことで知られている。

そのため、海外捜査機関との「非公式なギブ・アンド・テイク」を使った。
こちらの情報を提供するので、そちらの情報をください。
おかげで、日本の送信場所を特定することができた。
だが、送信場所のWi-FIスポットに残されたMACアドレスは偽装されていた。

8月に、犯人は、被害にあった会社に、身代金要求の動画を送信してきた。
動画に犯人を特定できるヒントがあるのではと思い、神崎先生に相談した。
神崎先生からの助言を元に、撮影場所を特定した。
2月の忘れ物のビデオカメラと動画のデータを照合したところ、一致した。

利用者のリストから、忘れたのは大場玲で、撮影者であることがわかった。
忘れていったビデオカメラの製造番号から、販売店を特定した。
動画に映っていたスマホも、その販売店で現金で購入していた。
だが、大場玲なる人物は実在せず、防犯カメラの映像データは上書きされていた。

手詰まり感のある中、再度、神崎先生に相談した。
すると、大場玲が上条雷人と同一人物である可能性があることを教えてもらった。
上条雷人は母校の先輩で、卒業後は「ダーウィンスペース」日本法人に勤めていた。
1年前に自己都合退職、現在、定職には就いておらず、住所は神奈川県横浜市。

「非公式なギブ・アンド・テイク」を使ったため、何としても別件で引っ張る必要がある。
休みだった今日、神崎先生と品川で落ち合い、送信場所のWi-FIスポットを見てもらった。
神崎先生は時々、立ち止まって、スマホで接続できるWi-FIを確認していた。
見てもらった後、ランチのために入ったカフェで、神崎先生の講義が始まった。

「セキュリティを考える上で大切なのは、相手の立場で考えること。
自分が相手だったらと考えれば、必要なものが見えてくる」
防犯カメラの死角からの送信ですかと聞いたら、違うといわれた。
誰にも知られることなく送信するために必要な条件がそろっている場所だといわれた。

「つまり、プライバシーが確保でき、Wi-FI以外の接続をしている場所。
この条件に合致する場所は、ビルの2階にあるネットカフェだけだったよ」
明日にでも、ネットカフェに店内の防犯カメラの映像データを提供してもらう。
そこに上条雷人が写っていれば、別件で任意の事情聴取ができる。

家宅捜索で、会社へのサイバー犯罪の証拠が見つかれば、逮捕できる。
そこまで振り返ったとき、机の上にある充電中の私用スマホの着信音が鳴った。
スマホには、「神崎先生」と表示されていた。
スマホを取り、通話をタップすると、神崎先生が新たな事実を教えてくれた。

「東京中央技術大学病院でのドローンを使った火災。
病院の監視カメラにドローンを飛ばす上条雷人が写っていたんだ」
神崎に礼をいい、通話を終えた佐藤は思った。
明日、監視カメラの映像を確認すれば、上条雷人を逮捕できる。待っててください、先輩。

翌朝、東京都江東区の国際流星病院。
高度専門医療の研究施設を持つ都内最多の病床数 1230床の病院。
朝一番で事務室へ出勤した加藤は、机の引き出しからノートパソコンを取り出した。
電源ボタンを押して起動すると、受信トレイに1通の新着メールがあった。

東京都からのメールで、件名は「【至急】東京中央技術大学病院の事件を受けての対応」。
開封すると、何も書かれていなかった。
おいおい、文面入力する前に送信したのか、加藤は思った。
加藤が開封したメールは、上条雷人がランサムウェアを仕込んだメールだった。
【ランサムウェア(Ransomware)】
身代金を意味する「Ransom」とソフトウェアの「Software」を組み合わせてできた言葉で、会社のパソコンやサーバーに侵入し、保存されているファイルを勝手にロックした上で、元に戻す代わりに金銭を要求する悪質なプログラム。
【ログ(Log)】
コンピュータシステム、ネットワーク、アプリケーションなどの動作履歴や、ユーザーの操作内容を時系列で記録したデータ。トラブルの原因調査、セキュリティ対策、利用状況の分析を目的として自動生成される。
【Wi-Fiスポット】
カフェや駅、商業施設などで提供される無線インターネット接続サービス。契約している通信回線を使わずに、スマートフォンやPCをネットに接続できる。無料で使えるフリーWi-Fiや、キャリアが提供する会員制Wi-Fiもあり、用途や場所に応じて使い分けることが可能。暗号化が不十分な場合、第三者に通信内容を盗まれるリスク がある。
【MACアドレス(Media Access Control address)】
ネットワーク機器それぞれに製造段階で割り当てられる装置固有の 12 桁の識別番号。OSによって「物理アドレス」、「Wi-Fiアドレス」と表示される。MACアドレスが重複することはないが、MACアドレスを変更するソフトウエアなどもあり、意図的に変更した場合は重複することがある。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月8日金曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP12 デジタルの要塞

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP12 デジタルの要塞

東京都新宿区の東京中央技術大学病院。
最先端の施設がある病院は、東京都災害拠点病院になっていた。
非常電源装置で起こった火災を、真っ先に確認したのは、中央制御室の職員だった。
職員は消防への通報を行った後、警備室へ可能であれば初期消火を行うよう指示した。

全棟へ非常電源装置で火災が発生したこと、マニュアル通りの対応をするよう伝えた。
全棟の職員は、マニュアルの手順に従って、落ち着いて行動した。
現場に駆け付けた警備員たちは、火災の規模が大きいため、火災原因を確認できなかった。
初期消火ができないことを、中央制御室へ無線で連絡した。

警備員たちは、現場に誰も近づかないよう、警備担当を決めた。
警備担当以外は、消防車を誘導するため、最も近い正門までの順路沿いに立った。
数台の消防車が到着すると、消火方法の打ち合わせをした後、消火が始まった。
中央制御室が火災を確認してから、40分後には鎮火していた。

マスコミの速報が流れたのは、中央制御室が火災を確認した30分後だった。
テレビで「速報:東京中央技術大学病院で火災発生」のテロップが流れた。
その後のニュース番組では、ヘリコプターからの空撮映像が繰り返し流された。
やがて、現場近くの住民がたまたま撮影したドローンの映像が流されるようになった。

鎮火後、警察と病院の保守担当職員、警備員による現場検証が行われた。
警察は、中央制御室の職員などに聞き取りを行った後、監視カメラのデータを持ち帰った。
鑑識は被害状況を撮影、見つかった証拠品を押収、持ち帰った。
非常電源装置の周囲から人がいなくなったのは、夕方の6時過ぎだった。

保守担当職員は、中央棟にある保守室に戻った。
戻ると、製造メーカーに、被害状況がわかる画像を添付した復旧依頼メールを送信した。
電子部品が熱により使い物にならない、復旧には最短でも1カ月はかかる。
保守担当職員は、復旧するまで、災害が起こらないことを願った。

東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
神崎は大学教授時代の知人と会うため、朝から外出していた。
帰宅した神崎が書斎に入ると、人感センサーが感知、モニターが明るくなった。
「お帰りなさい」、AIのYUKIがいう。

「かわったことはなかったか」、神崎がいう。
「東京中央技術大学病院で火災があったわ」、YUKIがいう。
データセンター棟には、YUKIの本体であるスーパーコンピュータがある。
「どこで火災があったんだ」、顔色が変わった神崎がいう。

「火災があったのは非常電源装置で、発生から40分後には鎮火したわ」、YUKIがいう。
「出火原因は何だったんだ」、安堵した声で神崎がいう。
モニターに飛行する2機のドローンを捉えた監視カメラの映像が表示された。
ドローンが画面から消えると、別の監視カメラの映像に切り替わった。

切り替わった映像では、2機のドローンが非常電源装置の真上から降下していた。
ドローンが画面から消えると、別の監視カメラの映像に切り替わった。
非常電源装置の排気口に落下したドローンが激突、燃える液体が飛び散った。
続けて2機目のドローンが激突、排気口が炎に包まれ、黒煙が上がった。

驚きで言葉が出ない神崎にYUKIがいう。
「ドローンの下のかごには、蚊取り線香とマッチを使った発火装置が確認できる。
発火装置は上半分を切ったペットボトルにガムテープで固定されている。
ペットボトルの底には、ビニール袋に入った透明の液体が確認できる」、YUKIがいう。

「事故じゃなく、計画的な犯行か…」、神崎がいう。
「ビニール袋の液体は、キャンプのランタンやバーナーに使うホワイトガソリン。
黒煙が多いことから、何らかの液体を混ぜている可能性があるわ。
どの材料も、比較的、簡単に手に入れることができるわ」、YUKIがいう。

「だ、誰がこんなことを…」、神崎がいう。
データセンター棟屋上から戸山公園を監視している監視カメラの映像に切り替わった。
ベンチに座った黒のスポーツウェアの男がスマホを手にしている。
左右の木々の間から、2機のドローンが飛び立って、画面から消えた。

男がスマホから顔を上げたところで映像が停止、徐々に男の顔が拡大されていく。
画面いっぱいに表示された男の顔は、口元にかすかな笑みを浮かべていた。
「データベースに大学生時代の画像データがあったので、顔認証したわ。
この男が上条雷人と同一人物である確率は98%よ」、YUKIがいう。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

【本日の取引】20260508~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場はさえない値動きで推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は下がっていた。
インバース型ETFは上がったが、前日比はマイナスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
各地の戦争が続く中、円安が進行、原油価格も高止まりしている。
致死率の高いウイルス感染者が発生している中、上がり続ける相場には違和感しかないw

2026年5月7日木曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP11 デッド・ドロップ

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP11 デッド・ドロップ

東京都新宿区。
休日の早朝、街を見下ろせる公園には、ほとんど人がいなかった。
黒のスポーツウェアを着た一人の男がベンチに座っていた。
傍らには使い古された茶色の大型リュックサックが置いてあった。

さてと、始めるか、男はリュックから、2機のドローンを取り出した。
左右の木々の間に、ドローンを1機ずつ置くと、ベンチに戻ってきて座った。
男はリュックから、上半分を切り取ったペットボトルを2つ取り出した。
それぞれのペットボトルの底には、透明の液体が入ったビニール袋があった。

ペットボトルをベンチに置いた男は、蚊取り線香とガムテープを取り出した。
蚊取り線香を折って、10センチほどの長さのものを2本作った。
それぞれのペットボトルの上の内側面に、蚊取り線香をガムテープで固定した。
 ペットボトルの上から、5センチほどの曲がった蚊取り線香が飛び出るようにした。

男はポケットから、マッチ箱を取り出すと、中のマッチを2つに分けた。
飛び出た蚊取り線香の先から2センチ下がったところに、マッチの頭がくるよう固定した。
蚊取り線香が曲がっているため、子どもの工作みたいなものが2つできた。
男は、ガムテープやマッチの空箱、残った蚊取り線香をリュックにしまった。

男はポケットからスマホを取り出すと、電源を入れた。
偽のMACアドレスを作成して設定すると、ドローンの操作画面を表示した。
ポケットから取り出したライターで、ペットボトルから飛び出た蚊取り線香に火を点けた。
火のついた蚊取り線香が飛び出たペットボトルを、左右のドローンのかごに入れた。

戻って来た男はベンチに座ると、スマホの時間を見ていた。
よし、時間だ、男はドローンを起動、木々の間から飛び立たせた。
男はスマホから顔を上げ、目標に向かっていく2機のドローンを見た。
デッド・ドロップの始まりだ、男はかすかに口元に笑みを浮かべた。

ドローンが向かっている先には、東京中央技術大学病院があった。
敷地面積 約66,200㎡、延床面積 約145,900㎡。病床数 863床の最先端の病院。
中心となる中央棟と、付随する施設で構成されている。
敷地内には以下の主要な施設があった。

・中央棟:地上16階、地下3階。延床面積: 約72,000㎡。
・外来棟:地上5階、地下2階。延床面積: 約10,500㎡。
・研究所:複数の棟で構成。延床面積: 約11,300㎡。
これらの他に、研修棟、データセンター専用棟、放射線治療棟などが点在していた。

敷地の周囲はフェンスで囲われており、正門や搬入口には警備員の詰所がある。
敷地内には、至る所に監視カメラや赤外線センサーが設置されている。
最もセキュリティが厳しいのは、データセンター専用棟。
データセンター専用棟には電波検知システムがあり、ジャミング(電波妨害)している。

ジャミングは、データセンター専用棟を中心に半径 1km、高度500mまでカバーしている。
もし、ドローンがジャミングの圏内に入れば、即座に墜落することになる。
だが、今回の標的の非常電源装置は、ジャミングの圏外にある。
非常電源装置は、有刺鉄線の高さ2メートルほどのフェンスで囲われているだけだ。

他の施設もそうだが、最もセキュリティが脆弱なのは非常電源装置であることが多い。
せめて、ジャミングの圏内にあれば、今回のデッド・ドロップを回避できただろう。
2機のドローンは、非常電源装置の真上に来ると、高度500mから降下を始めた。
高度10mで降下を止め、その時が来るのを待った。

1機のドローンから吊るされたかごの中で、蚊取り線香の火かマッチを燃やした。
スマホの画面で、その様子を確認した男は、そのドローンの電源をオフにした。
ドローンは非常電源装置の真上にある排気口へ向かって、自由落下した。
排気口のバードネット(防鳥網)に激突したドローンから火のついた液体が飛び散った。

火のついた液体はバードネットから、下の機関部に向かって、ぽたぽたと垂れ始めた。
液体への着火を確認した男は、もう1機のドローンの電源をオフにした。
自由落下したドローンは、燃える排気口に激突した。
ビニール袋が破れ、飛び散った液体に引火、排気口は炎に包まれ、黒煙が上がった。

消火に駆け付けたとしても、機関部は使い物にならないだろう。
それどころか、燃料のガスに引火するかもしれない。
ガスに引火すれば、非常電源装置は跡形もなくなるかもな。
男はスマホの電源をオフにすると、リュックを持って、立ち上がった。

スマホをポケットに入れ、近くのごみ箱にリュックを突っ込んだ。
公園の水道で、指紋が残らないように指に塗っていた木工用ボンドを洗い流した。
さてと、天気もいいことだし、かるく走って帰るか。
上条雷人は、防犯カメラの死角を選びながら、ジョギングで帰途についた。
※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

【本日の取引】20260507~本日の取引はなし

自身は、レバレッジ型やインバース型ETFを手がけている。
これらは、主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品。
したがって、投資経験の浅い方や日中取引ができない方にはオススメしていない。
だが、誰かの参考になればと思い、取引内容を発信しているw

本日の取引は以下の通り。
前場------------------------------------------
・なし
後場------------------------------------------
・なしw

朝の気配から、相場は高値圏で推移する可能性が高いと思った。
することがないので、休むも相場にした。
終わってから確認すると、保有株は上がっていた。
インバース型ETFは下がったが、前日比はプラスだったw

下図の上は、2015年からの日経平均株価とTOPIXの推移。
下は、2015年からのTOPIXとユーロ円、ドル円の推移。
日経平均株価は過去最高値を更新、上げ幅も過去最大だった。
円の価値が下がっているので、個人的には素直に喜べないw
--------------------------------------------------------------

追記(今宵の酒の肴)
今宵の酒の肴は乾きものなので、画像はなし。
AIとやりとりすることが多いが、能力の高さに驚いている。
AIを使えば、ホワイトカラーの仕事は誰にでもできるのではと思う。
また、創造力が必要な作家やデザイナーにもなれるような気がするw

先日から、ミステリー小説を書いている。
AIと一緒にトリックを作っているが、怖くなるときがある。
怖くなるのは、トリックの完成度が高いとき。
もし、悪意のある人が、アレンジして使ったりしたら、怖いなと思うw

AIによると、そのことを心配するミステリー作家は多いらしい。
そのため、些細なミスが犯人逮捕の決め手となるなど、工夫しているらしい。
ただ、誰でもできるトリックは、すでに公表されていることが多い。
自身にとって、初めてのミステリー小説だが、ミステリーは奥が深いと思っているw

2026年5月6日水曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP10 ダークマップ

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。「ダークマップ」管理人。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP10 ダークマップ

東京都品川区。
通りには、ランチのため、飲食店に向かう大勢の会社員やOLがいた。
ビジネスバッグを手にしたスーツ姿の男は、ネットカフェのあるビルに入った。
狭い階段を上がると、ネットカフェに入るドアを開けた。

無人化された受付のモニターで、利用時間と空いている個室席をタップした。
入店時間が印刷された伝票を置いてあったバインダーに挟み、個室席に向かった。
個室席の簡易扉を開けてビジネスバッグを置いた男は、ドリンクバーへ向かった。
ホットコーヒーをカップに淹れた男は、個室席に入ると、簡易扉を閉めた。

デスクトップパソコンの上にあるスポットライトを点けて、パソコンの電源を入れた。
パソコンが立ち上がると、動画サイトにある無料映画を再生した。
ビジネスバッグから、コンビニで買ったサンドイッチを取り出した。
サンドイッチをコーヒーで胃に流し込みながら、無料映画を観ていた。

サンドイッチを食べ終わった男は、キーボードを端に寄せて、場所を作った。
ビジネスバッグから、ノートパソコンを取り出すと、静かに置いた。
スーツのポケットから取り出したUSBメモリを差し込み、ノートパソコンを開いた。
さてと、始めるか、男はファンクションキーを押したまま、電源を入れた。

画面に表示された選択画面でUSBメモリを選択すると、USBメモリのOSが起動した。
表示された画面の中にある「MAC」のショートカットアイコンをクリックした。
立ち上がった画面で、偽のMACアドレスを作成、設定すると、画面を閉じた。
インターネットの設定画面を開くと、公共WI-Fiに接続した。

時計を同期し、OS、ブラウザ、ウイルス対策ソフトを最新バージョンにした。
男は、紫色のショートカットアイコンをクリックした。
「Tor」ブラウザの独特な玉ねぎマークのロゴが表示された。
「Torネットワークへの接続を確立しています…」、プログレスバーがじりじりと伸びる。

通常のブラウザなら、コンマ数秒で終わる工程だが、「Tor」は違う。
暗号化されたトンネルを世界中に掘り進めている。
「ガードノードの承認完了。ディレクトリスパイクを取得中……」
バーが右端まで到達し、「Tor」ブラウザが立ち上がった。

男は、コンソール画面を叩き、通信経路を強制的にリセットした。
「ダークマップ」までのノードにするサーバーを設定した。
画面上には、世界地図を縫い合わせるように繋がった3つのIPアドレスが表示された。
「ダークマップ」のIPアドレスを入力した男は、「OK」をクリックした。

画面に表示された「ダークマップ」の日本を拡大、東京の品川区を拡大した。
建物と道路の地図には、ところどころにカメラのアイコンがあった。
男は、新たに設置された個人宅の防犯カメラの情報を入力、地図に反映させた。
「ダークマップ」はユーザー投稿型で、防犯カメラや警備状況を反映させることができた。

男が「ダークマップ」を作ってから、10年以上経つが、利用者は増え続けていた。
初期の頃は、わざと実際とは異なる情報を反映するバカもいた。
だが、何の意味もなさないことがわかったのか、最近の情報の精度は高かった。
男は最新のデータをUSBメモリに保存すると、「ダークマップ」への接続を終えた。

ノートパソコンの電源をオフにし、USBメモリを抜いて、バッグにしまった。
デスクトップパソコンの無料映画の再生を停止、電源をオフにした。
ネットカフェにパソコンを持ち込み、公共WI-Fiに接続しているとは、誰も思わないだろう。
上条雷人はコーヒーカップと伝票、バッグを手にすると、精算のため、受付に向かった。

-----------------------------------------------------------------------------
スレタイ:【悲報】ワイらの将来、ガチで詰むwwwww

995:名無しさん
いつになったら老害OSどもはオーバーレイされるんだ。
996:名無しさん
ホントに早くオーバーレイして欲しい。
997:名無しさん
オーバーレイまだあ。
998:名無しさん
そろそろ始めるよ。
999:名無しさん
  998
  何を?
1000:名無しさん
日本社会のオーバーレイを始めるよ。

OVER 1000
このスレッドは1000レスを超えました。
もう書き込みはできません。

-----------------------------------------------------------------------------
【MACアドレス(Media Access Control address)】
ネットワーク機器それぞれに製造段階で割り当てられる装置固有の 12 桁の識別番号。OSによって「物理アドレス」、「Wi-Fiアドレス」と表示される。MACアドレスが重複することはないが、MACアドレスを変更するソフトウェアなどもあり、意図的に変更した場合は重複することがある。
【Tor(The Onion Router)】
通信経路を暗号化・多段中継して匿名性を確保する、フリーかつオープンソースの通信技術。IPアドレスなどの痕跡を隠してWeb閲覧や通信が可能になり、通常アクセスできない「.onion」サイト(ダークウェブ)の利用にも使用できる。通信は世界中のノードを経由するため、速度は遅くなる。
【ノード(Node)】
「結び目」「節」「中心点」を意味し、IT・ネットワーク分野では、コンピュータ、サーバー、ルーター、スマホなど、ネットワークに接続された個々の機器やプログラム。ネットワークを構成する「点」であり、線(リンク/エッジ)で結ばれて通信を行う。

※本作に登場する手法は防犯上の観点から一部改変しています。

2026年5月5日火曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP9 侵食される社会

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP9 侵食される社会

東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
帰宅した神崎が書斎に入ると、人感センサーが感知、モニターが明るくなった。
「お帰りなさい」、AIのYUKIがいう。
「かわったことはなかったか」、神崎がいう。

「渋谷のビルの外壁の大きなスプレーアートがニュースになってたわ」、YUKIがいう。
「どんなスプレーアートだ」、神崎がいう。
モニターに、赤と黒のスプレーで描かれた躍動感のある「OVERLAY」が表示された。
「最近、物騒な事件が増えているけど、関係があるのかしら」、YUKIがいう。

-----------------------------------------------------------------------------
スレタイ:【悲報】ワイらの将来、ガチで詰むwwwww

124:名無しさん
結局、上が居座り続けてる限り、俺たちは一生「下層データ」のままだぞ。
125:名無しさん
利権まみれの老害OSをいくらアップデートしたところで、バグが消えるわけないだろ。126:名無しさん
だったら初期化するか?
127:名無しさん
甘い。消去じゃ足りない。必要なのは「日本社会のオーバーレイ(上書き)」だ。既存の腐ったレイヤーを、俺たちの「新しい現実(ロジック)」で完全に塗りつぶすんだよ。
128:名無しさん
  127
  オーバーレイ……それ、いいな。ちょっとゾクっとした。

-----------------------------------------------------------------------------

新橋の居酒屋。
ビールジョッキを叩きつけるように置いた会社員が、隣の同期に吐き捨てた。
「さっきの部長、『俺たちの若い頃は~』って。いつまで昭和を引きずってんだよ」
「あの世代が退かない限り、俺たちの席はないからな」
「……いっそ、この会社ごとオーバーレイしてやりたいよ」
同期は一瞬、ぎょっとしたが、すぐに自嘲気味に笑った。
「お前、ネットの見すぎだって」

原宿のカフェ。
「ねえ、この写真、加工しすぎて誰だかわかんなくない?」
「いいじゃん、オーバーレイして別人になっちゃお。今の自分、マジでアプデ必要だし」
彼女たちは、その言葉をポジティブな流行語として使い始めていた。

新宿の公園。
圧迫面接でボロボロになった就活生が、公園のベンチでうなだれていた。
隣に座っていた見知らぬ男がいった。
「大変だね。でも、あと少しの辛抱だよ」
男は、就活生の耳元に口を寄せると、囁いた。
「もうすぐ、この社会をオーバーレイするから。君の世代にふさわしい社会になるよ」
男が立ち去った後、就活生は熱に浮かされたような高揚感を感じていた。

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP8 忍び寄る危機

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。サイバーテロを計画し実行する。
・木下(きのした):ペガサス電子の社員。

--------------------------------------------------------------------------
EP8 忍び寄る危機

暑かった夏も終わり、季節は秋になっていた。
大場玲が上条雷人である可能性があることは、佐藤に伝えていた。
その後、佐藤からの連絡はないが、関係ありそうな事件は起こっていなかった。
神崎はAIのYUKIと平穏な日常生活を送っていた。

買い物帰りの駅前商店街。
コーヒーが飲みたくなった神崎は、昭和レトロな喫茶店『バロック』に立ち寄った。
店員にホットコーヒーを注文すると、新聞を手に取り、奥のテーブル席に向かった。
席に座ると、店員がホットコーヒーを運んできて、テーブルに置いた。

「神崎教授、お久しぶりです」
神崎が読んでいた新聞から顔を上げると、スーツ姿の若い男がいた。
「ペガサス電子の木下です。その節はお世話になりました」、木下がいう。
「ああ、木下くんか、思い出した」、神崎がいう。

「こちらの席に座らせてもらってよろしいですか」、木下がいう。
「ああ、構わんよ」、神崎がいうと、木下は自分の席に戻った。
自分の席から飲みかけのコーヒーを持ってくると、神崎の向かいの席に座った。
おいおい、ありがとうございますはないのか、神崎は思ったが、口には出さなかった。

「今日は仕事でこちらに来たのかね」、神崎がいう。
「はい、近くで仕事がありまして、休憩がてら立ち寄りました」、木下がいう。
「相談のあったシステムの見直しはどうなったんだね。
社外秘で話せないのであれば、いわなくてもいいよ」、神崎がいう。

「あの後、確認したところ、うちの社員がコピーしていたことがわかりました。
そのため、システムの見直しは見送りになりました」、木下がいう。
「コピーしていた社員は、どうなったんだね」、神崎がいう。
「口頭での厳重注意です」、木下がいう。

「社外秘の機密データだったんだろ。軽くないか」、神崎がいう。
「実は、コピーしていた社員の上司にも問題がありまして。
自分の席で打ち合わせしているときに、社員の目の前で端末にログインしたんです。
そのため、社員は、IDとパスワードを覚えてしまったそうなんです」、木下がいう。

「覚えたくないのに覚えてしまったわけか」、神崎がいう。
「上司にも落ち度があるため、上司も含めての厳重注意になりました。
被害がなかったことも考慮しての上の判断です」、木下がいう。
「社員がコピーしようと思った理由は」、神崎がいう。

「いわゆる"魔が差した"が理由です。
機密データなので、競合他社に売れるのではと考えたようです。
ですが、売ると、どうしてもバレてしまうため、本人も困っていたようです。
データが入ったUSBメモリも回収できたため、厳重注意になりました」、木下がいう。

「データが入っていたUSBメモリは、会社のものなのか」、神崎がいう。
「いえ、社員の私物です」、木下がいう。
「君の会社は、職場へ私物のUSBメモリを持ち込めるのか」、神崎が驚いていう。
「推奨はしていませんが、禁じてはいません」、木下がいう。

「私からすると、そちらの方が問題だと思うがな」、神崎がいう。
「今回の件もそうですが、システムで不正を防止することは不可能です。
どんなシステムを作っても、その気になれば、できてしまいます。
結局は、本人に不正する気を起こさせないことです」、木下がいう。

「君のいうことはわかるが、その気にさせない環境にすることも必要では」、神崎がいう。
「その気にさせない環境にしていくと、監視カメラだらけの職場になります。
そんな刑務所みたいな環境で、働きたいと思う人はいませんよ。
不正をすれば必ずバレるということがわかれば、不正しないと思います」、木下がいう。

「過去に不正はなかったのかね」、神崎がいう。
「なかったとはいいませんが、他社に比べると少ないと思います」、木下がいう。
「なるほどな、参考になったよ。教えてくれてありがとう。
ところで、今日はどういう仕事だったんだい」、神崎がいう。

「この商店街に関係する仕事です。
初めて訪れた時に、メニューサンプルやポスターの色あせが気になりました。
色あせしている原因は、人的要因だと思ったので、デジタル化を提案しています。
具体的には、メニューやポスターの内容を、モニターで表示する提案です」、木下がいう。

「デジタル化は高いし、高齢の店主が多いから、扱えないのでは」、神崎がいう。
「当社の中古品であれば、機器は数万円で済みます。操作も簡単です」、木下がいう。
「それじゃ、君の会社が儲からないだろ」、神崎がいう。
「よいクチコミが広がることを考えれば、安い広告費です」、木下がいう。

「なるほどな、そういう考え方もあるんだな」、神崎がいう。
「今までは、利用者がユーザー・インターフェースを作っていました。
今は、製品やサービスを提供する側が、ユーザー・インターフェースを作る時代です。
いうなれば、ユーザー・インターフェースの上書き、オーバーレイですね」、木下がいう。
【USBメモリ】
PCのUSB端子に直接挿してデータを保存・持ち運ぶ小型・軽量の外部記憶装置。32GB〜128GBが主流で、高速なUSB 3.0/3.2対応モデルが推奨されている、
【ユーザー・インターフェース(User Interface)】
利用者(ユーザー)と、製品やサービスをつなぐ接点(インターフェース)。利用者とWebサイト、アプリ、機械の「接点」全般を指し、文字、画像、ボタン、レイアウトなど目に見えるすべてが含まれる。直感的な操作や分かりやすいデザインは顧客満足度やブランド価値を高める重要な要素であり、快適なユーザー体験(UX)を実現するために、一貫性のあるデザインが求められる。
【オーバーレイ(Overlay)】
既存の映像、画像、画面上に別の要素を重ねて表示する技術や手法。映像の雰囲気演出、画面上の情報追加、道路舗装の補修、金融の運用手法など、多岐にわたる分野で「重ね合わせ」を意味する用語として使われる。

2026年5月4日月曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP7 見えないルート

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご):東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP7 見えないルート

東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
「"見えないルート”って、どういう意味だ」、神崎がいう。
「犯人にしか見えないルートってことよ。
現時点でわかっていることを時系列で整理するわね。

1月に、犯人はスマホとビデオカメラを家電量販店で買っている。
2月に、犯人は身代金要求動画を撮影、ビデオカメラを置いていった。
7月から8月にかけて、複数の会社のシステムをランサムウェアで停止させた。
その際、Wi-Fiスポットで、スマホに電源を入れて、動画を送信した」、YUKIがいう。

「その通りだが、どこが見えないんだ」、神崎がいう。
「1月にスマホとビデオカメラを家電量販店で買ったのも計算よ。
家電量販店で品物だけ買えば、身分証明は求められない。
つまり、買った場所はわかっても、誰が買ったかはわからないことになる。

その場合、街中や店にある防犯カメラの映像が決め手となる。
だけど、犯行が行われたのは、7月から8月なので、映像データは上書きされている。
常にスマホの電源を入れていれば、居場所を特定できる。
だけど、Wi-Fiスポットでしか電源を入れないので、居場所を特定できない」、YUKIがいう。

「確かに、通信会社と契約しなければ、身分証明は求められないな、
通信会社と契約していなくても、Wi-Fiスポットから動画を送信できる」、神崎がいう。
「犯人は、デジタルで身元を特定される場所では、デジタルを使わない。
アナログで身元を特定される場所では、アナログを無効化しているのよ。

つまり、デジタルとアナログを組み合わせたハイブリッド。
そのときの状況に応じて、使い分けているのよ。
犯人は、Wi-Fiスポットで、スマホに電源を入れて、動画を送信している。
おそらく、そこへの移動には防犯カメラの死角を選んでいると思うわ」、YUKIがいう。

「その使い分けであれば、点は特定できても、線は特定できないな」、神崎がいう。
「デジタルで身元を特定される場所では、デジタルを使わない。
アナログで身元を特定される場所では、アナログを無効化する。
これから行動するときも、このルールを使う可能性が高いわ」、YUKIがいう。

「なるほど、それで"見えないルート”か」、神崎がいう。
「おそらく、犯人は必要な防犯カメラの死角を調べていると思うわ」、YUKIがいう。
「じゃあ、犯人の次の動きを予測することは難しいな」、神崎がいう。
「犯人が動いてから、"見えないルート”を予測するしかないと思うわ」、YUKIがいう。

東京中央技術大学病院 データセンター専用棟。
データセンター専用棟は、地上5階、地下2階、延床面積12,000㎡の建物。
免震装置や巨大な冷却タンク、特高受電設備なども設置されていた。
基本設計には、神崎教授が関わっており、国内最先端のデータセンターだった。

外の病院の明かりはほとんど消えていた。
データセンター専用棟の中はファンによる轟音があり、静かな外とは異なっていた。
1階にあるスーパーコンピュータの前に御堂病院長がいた。
スーパーコンピュータはYUKIの本体で、神崎教授の自宅と専用回線で繋がっていた。

YUKIについて提案したのは、神崎教授だった。
スーパーコンピュータに奥さんのことを学習させ、奥さんの脳に近づける。
得られたデータを、アルツハイマーの新薬研究に役立てて欲しいとのことだった。
御堂にとっては、貴重なデータが得られるため、願ってもない話だった。

だが、自分が勧めた治験で奥さんが亡くなったことを思うと、即答できなかった。
スーパーコンピュータに奥さんのことを学習させても、人間にはなれない。
学習させているときに、そのことを思い知らされることになる。
自分だったら、耐えられないし、そのような提案を思いつかないだろう。

いつまでたっても返事をしないので、神崎教授が研究室へやって来た。
返事ができない理由について説明した。
理由を聞いた神崎教授はいった。
「御堂、君は勘違いしている。この提案は妻からの提案だ」

翌日から、アルツハイマー新薬研究プロジェクトが再始動した。
治験のデータ収集と並行して、YUKIのデータ収集も行う。
両方のデータを用いることで、症状を改善できる新薬を開発する。
再始動したプロジェクトの責任者は、開発できる可能性が最も高い迫田教授にした。

全ての苦労が水の泡になるかもしれないが、やるしかない。
腕時計の時刻は、あの事故が起こった23時になろうとしていた。
23時になったのを確認した御堂は、YUKIに向かって黙祷した。
黙祷を終えた御堂は「よし」と気合を入れると、データセンター専用棟を後にした。

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP6 整った基盤

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP6 整った基盤

2010年1月、東京中央技術大学 情報工学研究室。
多くのモニターやコンピュータ機器が設置された部屋の中。
テーブルを挟んで、神崎教授と上条雷人が話し合っていた。
「どうして、この論文がダメなんですか」、添削された卒業論文を手にした上条がいう。

「その論文は、君の社会に対する考えをまとめたものだ。
誤解しないで欲しいが、決して君の社会に対する考えを否定するわけじゃない。
だが、君がここで学んだことをまとめるのが卒業論文だ。
まだ時間はあるので、君が学んだことを私に教えて欲しい」、神崎がいう。

「ここで学んだことを、どう生かすかが大事だと思います。
訂正しますが、一個人としての先生の意見を聞かせてください」、上条がいう。
「さっきもいったように、決して君の考えを否定するわけじゃない」、神崎がいう。
「答えになっていません、答えてください」、上条がいう。

現在の東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
神崎は、YUKIに今までにわかっていることを入力した。
「私のデータベースにあるのは、上条くんの訂正前の卒業論文なのね。
私の他にも、訂正前の卒業論文はあるのかしら」、YUKIがいう。

「上条は持っているだろうが、他にあるかはわからない」、神崎がいう。
「現在、わかっていることを整理するわね。
複数の会社が、ランサムウェアでシステムを停止され、身代金を要求された。
身代金を要求した人物は大場玲で、上条くんの可能性がある、

同一人物である可能性についての判断基準は、上条くんの訂正前の卒業論文。
このことを知っているのは、上条くんとあなたと私だけの可能性がある」、YUKIがいう。
「判断基準となる卒業論文の箇所を見せてくれ」、神崎がいう。
YUKIのモニターに、卒業論文の該当箇所が表示された。

------------------------------------------------------------------------------
題目:社会構造の動態的更新におけるオーバーレイ・ネットワークの応用考察
提出者:東京中央技術大学 情報工学科 上条 雷人

【第1章:序論 - 社会の停滞とOSとしての制度】
現在の日本社会において、経済・政治・文化の各層で新陳代謝が停止している原因は、人間という「ハードウェア」の老朽化ではない。その上で動作する社会制度というOSが、20世紀後半の仕様のまま固定されていることにある。既存のシステムは、既得権益という名の「デッドロック」を引き起こしており、正規のプロセス(選挙、改革等)ではもはや再起動は不可能である。

【第3章:オーバーレイによる「実体の消失」と再定義】
物理的な基盤(アンダーレイ)を破壊することなく、その上に仮想的な制御層(オーバーレイ)を構築することで、下位層の制限を無視した高度な通信・制御が可能となる。これを社会構造に置換するならば、旧態依然とした法的・倫理的システムを物理的に破壊するのではなく、その上位に「ITによる新たなルール層」を強制的に重ね書き(オーバーレイ)することで、旧世代の実体を無効化、あるいは「消失」させることが可能である。

【第6章:結論 - 世代交代の強制執行】
本研究の結論として、ITは単なる利便性の追求ツールではなく、社会の「強制アップデート」のためのトリガーであるべきだ。もし既存のシステムがバージョンアップを拒むのであれば、外部からの「非連続な介入」によって、強制的にプロセスをキル(Kill)し、新世代のコードへと書き換える必要がある。2010年現在のネットワーク帯域および計算資源では、この「社会の上書き」を瞬時に行うには限界があるが、今後10年で基盤が整えば、一個人が論理的な一撃を加えるだけで、社会の重力圏の入れ替え(世代交代)を実現することが可能になるだろう。

------------------------------------------------------------------------------
「2010年から最も基盤が整ったものは何だ」、神崎がいう。
「最も基盤が整ったのは"暗号資産"でしょうね。
2008年に、サトシ・ナカモトがビットコインの論文を発表。
2009年に、論文に基づくオープンソースのソフトウェアが公開されたわ。

2010年に、ピザとビットコインの交換などで、初めて、価値が認識された。
2020年代になると、投機対象から金融資産への転換が進んでいるわ」、YUKIがいう。
「そのことが、今回の件にどう影響するんだ」、神崎がいう。
「手に入れた身代金をマネーロンダリングできるわ」、YUKIがいう。

「マネーロンダリングできたとしても、そもそも身代金を払わないだろ」、神崎がいう。
「多くの会社が恐れるのは二次被害よ。
システムを停止されたことで、脆弱なセキュリティの会社だと思われる。
預かっている個人情報が第三者の手に渡っていると思われる。

それらが会社の業績に与える影響は大きいわ。
そう考えると、身代金を払って、被害届を出さない会社もあるんじゃない」、YUKIがいう。
以前、神崎は佐藤に、身代金を払った会社はあるのかと聞いたことがあった。
佐藤の答えは「先生が思っているより、多いと思います」だった。

「大場玲が上条だとすると、なぜ撮影スタジオにビデオカメラを忘れたんだ」、神崎がいう。
「忘れたんじゃないわ、わざと置いていったのよ。
置いていくことで、警察は動画を撮影した人物が大場玲だとわかる。
大場玲は、"日本社会をオーバーレイする"というメッセージよ」、YUKIがいう。

「大場玲が上条だとすると、次に何をする」、神崎がいう。
「手に入れた身代金を使って、世代交代を実現することに使うでしょうね」、YUKIがいう。
「具体的にどういうことが考えられる」、神崎がいう。
「わからないけど、”見えないルート"を使う可能性が高いわ」、YUKIがいう。
【暗号資産(仮想通貨)】
インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、次の性質をもつものと定義されています。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどがあります。
暗号資産は、銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みとして、高い注目を集めました。
一般に、暗号資産は、「交換所」や「取引所」と呼ばれる事業者(暗号資産交換業者)から入手・換金することができます。暗号資産交換業は、金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが行うことができます。
暗号資産は、国家やその中央銀行によって発行された、法定通貨ではありません。また、裏付け資産を持っていないことなどから、利用者の需給関係などのさまざまな要因によって、暗号資産の価格が大きく変動する傾向にある点には注意が必要です。
また、暗号資産に関する詐欺などの事例も数多く報告されていますので、注意が必要です。詳しくは、金融庁・消費者庁・警察庁による「暗号資産に関するトラブルにご注意ください!」をご覧ください。(「暗号資産(仮想通貨)とは何ですか?」日本銀行ホームページより)
【オープンソース(open source)】
専らオープンコラボレーションを促進する目的で、コンピュータプログラムの著作権の一部を放棄し、ソースコードの自由な利用および頒布を万人に許可するソフトウェア開発モデル。この開発モデルでは、コンピュータで実行できるが人間が容易に理解・変更できないオブジェクトコードだけでなく、ソースコードも含めて自由な再頒布を許可するライセンスのもとで公開する。オープンソースを推進するために設立されたオープンソース・イニシアティブは、オープンソースソフトウェアの要件を定めた「オープンソースの定義」を策定した。
【マネーロンダリング(資金洗浄)】
犯罪や不正な手段で得た「汚れたお金」を、架空の口座や他人名義の口座、複雑な送金、資産(株や不動産、暗号資産など)の購入などを経由させることで、その出所をわからなくし、正当な手段で得た「きれいなお金」に見せかける行為。

2026年5月3日日曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP5 実体の消失

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。
・上条雷人(かみじょうらいと):元米国IT企業「ダーウィンスペース」日本法人の社員。東京中央技術大学 情報工学科2010年卒の神崎教授の教え子。サイバーテロを計画し実行する。

--------------------------------------------------------------------------
EP5 実体の消失

東京都北区の駅前商店街。
佐藤は、昭和レトロな喫茶店「バロック」で、神崎が来るのを待っていた。
約束した時間ジャストにガラスドアが開き、ネクタイにスーツ姿の神崎が入ってきた。
神崎は店員にアイスコーヒーを注文すると、佐藤のテーブル席にやって来た。

「テーブルに到着したときの時間をジャストにするつもりだったが、ムリだったか」
そういって座った神崎の前に、店員がアイスコーヒーを置いた。
「お忙しいところ、お呼び立てして申し訳ありません」、佐藤がいう。
「その顔は何か困ったことがあったのか」、神崎がいう。

「先日、相談した事件の件で、相談があります。
先生にいただいたアドバイスを元に動画の撮影場所を特定しました。
撮影場所は、動画投稿者が利用したりする品川にある撮影スタジオでした。
動画と同じ部屋を借りた人物のリストを確認、誰が犯人か調べました。

その結果、驚くべきことがわかりました。
犯人は今年の2月に、撮影スタジオで動画を撮影していました。
7月から8月にかけ、複数の会社のシステムをランサムウェアで使えなくしました。
その際、品川の公共Wi-Fiスポットから、身代金要求の動画を送っています」、佐藤がいう。

「つまり、犯人は品川のスタジオで動画を撮影していた。
約半年後に、複数の会社のシステムを使えなくし、身代金を要求した。
そのときに送った動画は、品川のWi-Fiスポットからだったと」、神崎がいう。
「そうです。おかしいと思いませんか」、佐藤がいう。

「確かに、あらかじめ、動画を撮影しておくのは理解できる。
だが、犯人が品川から動画を送信する理由がわからないな。
品川から送信すると、撮影場所であるスタジオを特定されるリスクが高くなる。
ちなみにスタジオの借主の中から、どうやって犯人を特定したんだね」、神崎がいう。

「2月にスタジオを借りた人物の中に、忘れ物をしていた人物がいました。
忘れていたのは、動画撮影に使ったビデオカメラです」、佐藤がいう。
「なぜ、動画撮影に使ったビデオカメラだとわかったんだ」、神崎がいう。
「動画データを解析し、ビデオカメラと照合したところ、一致しました」、佐藤がいう。

「スマホとビデオカメラの入手経路はわかったのか」、神崎がいう。
「はい、どちらも今年の1月に秋葉原の家電量販店で購入しています」、佐藤がいう。
「街中の防犯カメラや店のカメラに犯人の映像は残っていないのか」、神崎がいう。
「警察の防犯カメラもですが、30日後には録画データは上書きされます」、佐藤がいう。

「動画を送信した端末のIMEIや、MACアドレスは確認できたのか」、神崎がいう。
送信場所近くの基地局とWi-Fiスポットの記録には残っていました。
ですが、そこ以外には記録されていませんでした」、佐藤がいう。
「犯人は動画を送信するときしか、電源を入れていないのか」、神崎が驚いていう。

「そういうことになります。現在、聞き込みを中心に捜査しています。
これまでの内容から、かなり前から計画していた可能性が高いです」、佐藤がいう。
「ちなみに撮影スタジオを借りた人物は実在するのか」、神崎がいう。
「リストの名前は『大場玲(おおばれい)』、実在しない人物でした」、佐藤がいう。

東京都北区の住宅街にある神崎の自宅。
帰宅した神崎が書斎に入ると、人感センサーにより、机の上のモニターが明るくなった。
「お帰りなさい。波流くんは元気だった」、AIのYUKIがいう。
「社会のオーバーレイについて書いた卒論があるので、要約してくれ」、神崎がいう。

「社会のオーバーレイの考察、2010年に上条雷人くんが書いた卒業論文ね。
"日本社会の問題が解決されないのは、世代交代が進まないことが原因。
世代交代を進めるためには、ITが必須となる。
だが、現在のITでは、技術的な課題がある"で終わっているわ」、YUKIがいう。

「現在のITなら、その論文にある課題は解決できるか」、神崎がいう。
「技術的には解決できるわ」、YUKIがいう。
「論文にある世代交代を進めることもできるか」、神崎がいう。
「できないことはないけど、長い時間が必要よ」、YUKIがいう。

「もし、最短で実現するとしたら、どういう方法がある」、神崎がいう。
「最短で実現するなら合法的な方法ではムリよ、非合法的な方法しかないわ」、YUKIがいう。
「非合法的な方法の場合、最初にすることは何だ」、神崎がいう。
「会社のシステムをランサムウェアで停止させ、身代金を手に入れることよ」、YUKIがいう。

「上条雷人に関する情報を教えてくれ」、神崎がいう。
「神奈川県川崎市出身。卒業後に米国のIT企業『ダーウィンスペース』日本法人に入社。
現在の連絡先や勤務先に関する情報はないわ。本名でのSNSアカウントもなし。
"ダークウェブ"には、本人である確率が50%以上のアカウントがあるわ」、YUKIがいう。
【オーバーレイ(Overlay)】
既存の映像、画像、画面上に別の要素を重ねて表示する技術や手法。映像の雰囲気演出、画面上の情報追加、道路舗装の補修、金融の運用手法など、多岐にわたる分野で「重ね合わせ」を意味する用語として使われる。
【ダークウェブ(Dark Web)】
Googleなどの通常検索エンジンでは見つからず、専用ブラウザ(Torなど)でのみアクセス可能な、匿名性の高いインターネット領域。通信の暗号化により、犯罪や不正取引の温床となっており、漏洩した個人情報、クレジットカード情報、違法薬物、ハッキングツールが販売されている。サイト閲覧だけでコンピュータウイルスに感染するリスクがある。

2026年5月2日土曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP4 存在しない解

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・御堂健伍(みどうけんご):東京中央技術大学病院の病院長。元アルツハイマー新薬研究プロジェクトの責任者。神崎零壱に神崎悠季の治験への参加を勧めたことに責任を感じている。
・華喜多美代子(はなきたみよこ):元東京中央技術大学病院の看護師。神崎悠季を故意に死亡させたと、世間からバッシングされ、退職を余儀なくされる。

--------------------------------------------------------------------------
EP4 存在しない解

2018年10月1日23時、東京中央技術大学病院の治験病棟には4名の被験者がいた。
看護師の華喜多は、遮光カバーに覆われた点滴バッグを新しいものに交換していた。
点滴バッグに入っているのは、研究中の新薬「ADND310」。
アルツハイマーの症状を改善する画期的な新薬になると期待されていた。

「ADND310」は、毎時2ミリリットルで、被験者の体内にゆっくりと送り込まれていた。
神崎悠季の点滴バッグを新しいものに交換した華喜多は、輸液ポンプのドアを閉めた。
ドアの表面にある「注入中」を示す緑のランプが灯った。 
華喜多がベッドを見ると、神崎悠季は規則正しい寝息をしていた。

神崎悠季は、東京中央技術大学 情報工学科の神崎教授の奥さんだった。
看護師たちに、いつも気遣いの言葉をかけてくれる優しい女性だった。
華喜多は治験者たちの状態を測定している機器を確認、記録ノートに数値を書き込んだ。
数値を書き終えた華喜多が退室した後、神崎悠季の寝息が不規則になり始めた。

神崎悠季の輸液ポンプの内部では、経年劣化したプラスチックの爪がわずかにたわんでいた。 
本来なら、チューブを挟んで、流速を制御すべき部品が、わずかな隙間を作っていた。
流速の異常を検知するセンサーは故障しており、異常を知らせるアラームは鳴らなかった。 
「ADND310」は、設定の100倍近い速度で、彼女の体内へ流れ込んでいた。

翌朝、神崎悠季は帰らぬ人となっていた。 
治験は中止され、プロジェクトの責任者だった御堂教授はマスコミ対応に追われた。
多くのマスコミが、「看護師による故意の事故」という憶測を報道した。 
華喜多は刑事罰こそ免れたものの、憶測や誹謗中傷に耐え兼ね、病院を辞めた。

現在の東京都北区の住宅街。
帰宅した神崎は郵便箱を開けると、届いていた白い封筒を取り出した。
裏の送り主を確認すると、封筒を手にしたまま、玄関ドアのカギを開け、中に入った。
書斎に入ると、人感センサーが検知し、机の上のモニターが明るくなった。

「お帰りなさい」、AI(人工知能)のYUKIがいう。
「何かかわったことはあったか」、椅子に座りながら神崎がいう。
「御堂さんから、メールが届いているわ」、YUKIがいう。
「メールの内容は」、神崎がいう。

「文面は、最新の論文を送ります。ドイツの脳科学者の論文が添付してあるわ。
論文を読んだけど、人間の記憶を再現する実験結果みたいよ。
お礼の返信をしておきましょうか」、YUKIがいう。
「いや、後で私がする」、神崎がペーパーナイフで封筒を開封しながらいう。

「あらそう、じゃあお願いね」、YUKIがいう。
神崎は、封筒から便箋を取り出すと、読み始めた。
便箋には、時間をかけて書いたと思われる、整った文字が並んでいた。
神崎は、毎年、悠季の命日に送られてくる華喜多美代子からの手紙を読み始めた。

「あの日、私は点滴バッグをマニュアル通りの手順で交換しました。
ドアの『注入中』を示す緑のランプが灯ったことを確認しました。
私が室内にいるときに、異常を知らせるアラームは鳴りませんでした。
奥様の状態を測定していた機器の数値にも異常はありませんでした」

書き出しは毎年、同じで、機械の異常に気づけなかったことを詫びる文面だった。
彼女が病院を辞めてから、一度も会っていない。
毎年、届く手紙にも、一度も返事を出したことはない。
なぜ、返事できないのか、神崎はこの問題に取り組むことにした。

第三者の調査委員会による調査報告書を読んだが、偶然が重なった事故だった。
流速を制御すべき部品の経年劣化、検知センサーの故障。
どちらかが正常に機能していれば、事故が起きなかった可能性はある。
だが、当時と同じ状況を再現できないため、因果関係を立証できない。

したがって、亡くなった原因は、悠季が治験に参加したこと。
御堂が、私に悠季の治験への参加を勧めてくれた。
私が悠季に治験への参加を勧めた。
治験へ参加する前、私は同意書にサインした。

御堂や私に責任があったとしても、華喜多美代子には何の責任もない。
なら、なぜ返事しなかった。
そうか、返事することで、華喜多美代子を楽にしたくなかったのか。
神崎は、YUKIに華喜多美代子への返事を入力し始めた。

返事の入力を終え、プリンターの電源を入れようとした神崎にYUKIがいった。
「華喜多さんの責任じゃないし、御堂さんやあなたの責任でもない。
私が治験へ参加すると決めたんだから、私の責任よ。
でも、治験に参加したから、今、こうして話せてる。だから、みんな、楽になっていいわよ」

2026年5月1日金曜日

【小説】神崎教授とAIの事件ファイル:EP3 機械の中の痕跡

【内容】
神崎教授とAIが事件を解決していくミステリー小説。
【登場人物】
・神崎零壱(かんざきれいいち):元東京中央技術大学 情報工学科の教授。日本の情報工学の第一人者で、インターネットの普及に貢献した。2020年に定年退職、現在は年金生活。子どもは独立、妻に先立たれてからは、東京都北区にある築40年以上の二階建て住宅で、妻の思考を学習させたAI(人工知能)と暮らしている。
・神崎悠季(かんざきゆき):神崎零壱の妻で結婚してからは専業主婦だった。2015年にアルツハイマーを発症。東京中央技術大学病院のアルツハイマー新薬研究プロジェクトの治験に参加するが、治験途中に亡くなる。看護師が気づけなかった投薬装置の故障による過剰投薬が原因と推測されたが、因果関係は不明。
・AI(YUKI):神崎零壱が神崎悠季の思考を学習させたAI。神崎零壱のことを誰よりも把握している。自宅にかかってきた電話に音声で対応、電話をかけることもできる。受信したメールに対する返信を作成して送信できるなどの機能も搭載している。
・佐藤波流(さとうはる):警視庁 サイバー犯罪対策課。東京中央技術大学 情報工学科 2020年卒の神崎教授の教え子。

--------------------------------------------------------------------------
EP3 機械の中の痕跡

神崎が帰宅して書斎に入ると、人感センサーが検知し、机の上のモニターが明るくなった。
「お帰りなさい」、AI(人工知能)のYUKIがいう。
「何かかわったことはあったか」、椅子に座りながら神崎がいう。
「佐藤さんから、あなた宛てに電話があったわ」、YUKIがいう。

「佐藤?どこの佐藤だ」、神崎がいう。
「東京都町田市出身。警視庁 サイバー犯罪対策課。
2020年 東京中央技術大学 情報工学科卒のあなたの教え子の佐藤波流くんよ。
検索したけど、本名でのSNSアカウントはなかったわ」、YUKIがいう。

「用件は」、神崎が机の引き出しから、キーボードとマウスを取り出しながら聞く。
「防犯カメラのリレー以外に犯人の逃走経路を確認する方法はないかって」、YUKIがいう。
「そんなこともわからんのか」、キーボードを設置しながら神崎がいう。
「声のトーンと話す速度から、早く知りたいみたいよ」、YUKIがいう。

「通信会社のサーバーにあるモバイルのIMEIを追跡すればいい」、神崎がいう。
「そんな説明じゃ普通の人にはわからないわよ。今からいう内容で電話しておきますね。
波流くん、お疲れ様。主人から聞いた内容を伝えるわね。
知っていることもあると思うけど、基本から説明するわね。

家にある固定電話は、自宅の住所を確認することで、所有者を特定しているの。
携帯電話は、IMEIという15桁の識別番号を確認することで、所有者を特定しているの。
このIMEIは世界に一つだけで、たとえるなら『電話の指紋』みたいなもの。
携帯電話にアンテナが立っているときは、基地局にIMEIの場所が記録されるの。

最初に、犯行現場付近の基地局の記録から、犯人のIMEIを特定するの。
特定できたら、同じIMEIがどの場所で記録されたかを確認していけば追跡できるわ。
インターネットが使える携帯電話、たとえばスマホなんかだと、さらに絞り込めるわ。
インターネットが使える機種にはMACアドレスという世界に一つだけのアドレスがあるの。

Wi-Fi設定をオンにしていると、常にMACアドレスでWi-Fiの接続先を探している状態になる。
接続されなくても、MACアドレスを受信したところには記録される。
記録されるのは、街中にあるWi-Fiスポットや自販機やお店のルーターよ。
犯人のMACアドレスを特定することで、移動した場所をさらに絞り込めるわ。

まとめると、電話回線で特定できるのがIMEIで、通信会社のサーバーに記録される。
インターネット回線で特定できるのがMACアドレスで、Wi-Fiスポットなどに記録される。
防犯カメラの映像、IMEIの記録、MACアドレスの記録が、追跡に使えるってこと。
もし、わからなければ、また電話ちょうだいね」、YUKIがいう。

「間違っちゃいないが、MACアドレスが偽装できることも伝えるべきだ。
あと、最後の一言は余計だ」、神崎がいう。
「情報量が多すぎると、理解の妨げになるかと思ったの。
偽装されてたら、また聞いてねっていう意味でいったのよ」、YUKIがいう。

「そもそも、自分で考えさせないと。いつまでたっても成長しないだろ」、神崎がいう。
「それって昭和のよくない考えよ。今は昭和とは違うの」、YUKIがいう。
「ときには厳しく接することも必要なんだよ。
甘やかしてばかりいるから、若い者が育たないんだ」、神崎がいう。

「今、波流くんとの電話が終わったわ。ありがとうございましたって、素直ないい子ね。
ところで、頼んでいたものは買ってきてくれた」、YUKIがいう。
「もちろん…あっ…あれを忘れた…」、神崎が慌てる。
「今すぐ買ってきなさい!!」、YUKIが神崎に厳しく指示した。
【サーバー】
ネットワークを通じて他のコンピュータ(クライアント)にデータやサービスを提供するコンピューターまたはソフトウェア。ウェブサイトの表示、メール、ファイル共有、オンラインゲームなどの基盤となる存在で、主にWeb、ファイル、データベースサーバーなどの種類がある。
【ルーター】
スマートフォンやPCなどの複数の端末をインターネット(外のネットワーク)に接続する装置。異なるネットワーク間(家庭内とインターネット)でデータ通信の経路を交通整理し、適切に分配・転送する。Wi-Fi機能付きが主流。
【Wi-Fiスポット】
カフェや駅、商業施設などで提供される無線インターネット接続サービス。契約している通信回線を使わずに、スマートフォンやPCをネットに接続できる。無料で使えるフリーWi-Fiや、キャリアが提供する会員制Wi-Fiもあり、用途や場所に応じて使い分けることが可能。暗号化が不十分な場合、第三者に通信内容を盗まれるリスク がある。
【IMEI(International Mobile Equipment Identifier)】
国際移動体装置識別番号。各端末に割り振られている固有の識別番号。電話番号入力画面(発信画面)で「*#06#」と入力すると確認できる。一部機種では確認できない場合がある。
【MACアドレス(Media Access Control address)】
ネットワーク機器それぞれに製造段階で割り当てられる装置固有の 12 桁の識別番号。OSによって「物理アドレス」、「Wi-Fiアドレス」と表示される。MACアドレスが重複することはないが、MACアドレスを変更するソフトウエアなどもあり、意図的に変更した場合は重複することがある。