2016年1月22日金曜日

銘柄を明かさない理由R23 相場で勝つ条件

第23話 相場で勝つ条件

ある証券会社の資産運用を担当する部署、アルカディア。
精鋭揃いの女性トレーダー10名で構成されたアルカディアは、連戦連勝の無敗だった。
今や10名の女性トレーダーを率いる創設者の社員は、無敗のクイーンと称されていた。
今、無敗のクイーンは、会社の創業者で伝説の相場師、無敗のキングと対峙していた。

ゆっくりとした口調で、会長は創設者の社員に告げた。
「いいだろう、貴様の好きなようにするがいい。
だが、私の会社の資産が少しでも減ったら、どうなるか分かっているだろうな」
創設者の社員は、ソファから立ち上がるといった。

「そのお言葉、私たちには必要ありません。
なぜなら、私たちは世界最強の相場師だからです。
ところで会長、資産が減らなかった場合、私たちへの見返りはあるのでしょうね。
まさか、現状維持じゃないですよね」

社長は心の中で思った。
頼むから、それ以上、しゃべるなと。
会長は、下から創設者の社員の顔をゆっくりとした動きで見据えるといった。
「要求があれば、いえ」

創設者の社員は、満面の笑みを浮かべていった。
「今後、私たちが運用して得た純利益、その半分を私たちにいただきたい」
社長室の中を静寂が支配した。
永遠に静寂が続くかと思われたとき、会長は笑みを浮かべていった。

「いいだろう、貴様たちが稼いだ金だ、会社と折半で手を打ってやる」
社長が慌てていう、「役員会の了承なしで、そのようなことを決められても」
会長がいい放つ、「文句がある役員がいたら、ワシのところに来いといえ」
会長が創設者の社員にいう、「もういいぞ、どれだけ資産が増えるか楽しみにしているぞ」

創設者の社員が退室したあと、会長が社長にいった。
「貴様がいうとおり、面白い奴だな」
社長が答える、「申し訳ありませんでした、部下の非礼をお詫びいたします」
会長がいう、「あの女、どことなく若い頃の貴様に似ているな」

会長は続けた、「相場で勝つために最も重要なことは、己が最も偉いと思うことだ。
あの女にはそれがある、だが一生、結婚はできんな、今日は長居した、また寄らせてもらう」
社長室から退室する会長を見送りながら、社長は思った。
創設者の社員が、会長の今の発言を聞いていたら、取っ組み合いの喧嘩になっていたなと。